NGOミャンマー駐在員のハリキリノート

ミャンマーのタウンジーという町で、国際協力をやっています。NGO活動、ミャンマーあれこれ、国際結婚育児ネタなど

企業とNPOの違いを実感レベルで解説!「NPOは挑戦者である」

ミンガラーバー(ミャンマー語でこんにちは)

NGOでミャンマーに駐在している鈴木亜香里です。

 

NGOやNPOに関心がある方は、「企業とNPOって、何が違うの?」と思うことがあるかと思います。

企業もNPOも、社会に貢献するという目的は、同じ。

お金を稼ぐ必要があるというのも、同じ(株主等に分配するか、分配しないかの違いだけ)。

 

パッと見たところ、企業もNPOも同じように感じてしまいます。NPO関係の本を見るとごちゃごちゃ説明してあるけど、イメージが湧きづらいのも事実。

 

そこで、2年間の営利企業で働いたあと、NPOで働いている鈴木が実感している「企業とNPOの違い」をまとめます。

 

1)NPOは、お客様以外からお金を稼ぐ方法を考えなければならない

企業はもちろんお金を稼ぐんですが、NPOだってお金を稼がなければなりません。

企業と違うところは、「お金を誰からもらうか」という点です。

 

企業なら、物やサービスを売って、お客さんからお金をいただきます。とってもシンプル!

でも、NPOが物やサービスを提供する相手は、途上国の人々であったり、社会的に困難な立場に置かれている人だったり、自然環境だったり・・・。となると、その人たちからお金を払ってもらうのが難しいことが多いです。

 

なので、NPOは別のところから収入を確保しなければなりません。寄付、助成金、ソーシャルビジネスなど、まさにアイディア勝負!

 

私の所属する地球市民の会では、ミャンマーの農村に対して、農業研修、学校建設、インフラ整備などのサービスを提供しています。研修参加費などの一部は参加者に負担してもらいますが、まかなえない分は日本の寄付者、助成金などに支えていただいて活動をしています。

その他にも、自己財源を増やしていくために、いろんなことを考えています。くわしくはこちらの記事で。
www.ngomyanmar.com

 

 

2)NPOは、普通の人が行きたがらない困難なところに行く

地球市民の会は、チン州に進出しています。チン州は、ミャンマーの中でも一番遅れていると言われている地域です。インフラもぜんぜん整っていないし、人口も少なく、村と村がマジで遠い・・・。

企業の方からは「そんな大変な地域になぜ行かれるのですか?」と聞かれることがあります。ビジネスをやろうと思うと、電気もないし、道も悪いし、マーケットも小さくて、利益出せるイメージが一切湧かないからでしょうね。海外視察に行った企業の方がよく言われる「時期尚早」というやつです(チンだけでなく、ミャンマー全体がまだ時期尚早だと言っている方もいらっしゃいます。停電とか多いしね)。

 

NPO的には「まだ誰も行っていないからこそ行くべきだ」と考えます。まだ誰の支援も入っていないなら、自分たちが行かなければならない!という使命感に似た気持ちもあるかもしれません。チン州に拠点を置いた日系のNGOは、地球市民の会が初です(ドヤッ)!

また、人とのつながりを重視するのもNPO的。当会は、地元を良くしていきたいと熱い想いで活動される現地パートナーとの出会いがあったので、前から気になっていたチン州への進出を決めたという点もあります。

 

企業は「収益志向」、NPOは「ミッション志向」と言われるように、必要なところには、どこへでも行く。むしろ困難なところに優先して行くのがNPO。

国際協力を例にして話していますが、日本国内の課題にとりくむNPOも、企業や行政が手を出さない・出せないフィールドで頑張っておられます。

 

絶対に収益化できない地域・フィールドにも入っていけるのがNPOの強みです。必要なお金は、別の場所から稼いでくれば良いと考えているからです。普通の企業だとなかなかできない挑戦ができるんですね。

 

ということで、新たな地域やフィールドにそろそろ挑戦したいと考える企業は、すでに活動しているNPOと協働するのがオススメです。シャン州やチン州の農村のことなら、我々が一番よく知っています。

 

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山ばっかり~!!のチン州

 

3)NPOは、自身が必要なくなるのが究極のゴール

地球市民の会は、シャン州を撤退する予定であると、こちらの記事で書きました。

www.ngomyanmar.com

 

この話をすると、企業の方からは「潔いですね」という反応が返ってきました。企業は、「ゴーイングコンサーン」という言葉があるように、自身をできるだけ長く存続させることが重要だと考えられています。社員や家族の生活がかかっていると思うと、当然ですよね。長く存続して、社会に価値を提供していこうという考えだと思います。

 

それに対して、NPOは「自分たちが必要なくなることが究極のゴール」だと言います。何か社会的な課題を解決するために活動しているので、「自分たちが必要なくなる=課題が解決してなくなった」ということですね。まさに理想の姿です。

 

シャン州では、ローカルスタッフたちが育ってきて、日本人の関与がそこまで必要ない状況になりつつあります。地域にはまだまだ支援が必要な状況ではありますが、外部の人中心ではなく、地域内部の人が中心に活動できるようになってきています。

 

なくなることが良いことだと言うと、「NPOスタッフの生活はどうなっても良いのか??」とチラッと思いますが、どうなっても良いんでしょうね!・・・いえ、冗談です(笑)。

一つの課題が解決しても、まだまだ世の中にはいろんな課題がありますから、次に取り組んでいくことが多いのでしょう。当会が、シャン州からチン州に軸足を移したように、これまでの経験を生かしてさらにプロフェッショナルな事業を展開していきます。

 

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地元の若者にあとは任せた!

 

まとめ:NPOは挑戦者である

いろいろ書きましたが、NPOは「ミッション志向性がある」という言葉に尽きます。

自分が取り組むべき社会的課題が見つかったら、どんなに儲からなくても、困難な地域でも、やる。使える物(者)は総動員して、アイディア出しまくって乗り越える。で、解決したら、さっさと次の課題に移る。

大変困難な挑戦ですが、社会を良くするために、全力で取り組むのがNPOです。

 

こういう挑戦者がたくさん出てくると、社会がもっと良くなっていくのではないかと思います。自分は困難な場所に行けないという方にも、挑戦者を応援する・支援するという形で参加してもらえるといいなぁ。ということで、地球市民の会を応援してください(また宣伝ばっかり!笑)。

 

ちなみに、この記事はNPOがすごいという感じで書いていますが、決して企業を批判しているわけではないです。役割分担だと思っています。企業や行政ができるところはしっかりやっていただいて、手の届きづらいところをNPOが担当すれば良いことです。