ミンガラーバー。
認定NPO法人「地球市民の会」のミャンマー駐在員、鈴木亜香里です。
最近はファンドレイジングのことをいろいろ勉強しています。
さて、クラウドファンディングが流行ってきていますね。当会でも、8月にミャンマーの学校建設の資金を集めるために、クラウドファンディングに挑戦する予定です。
クラウドファンディングに挑戦するにあたり、最初に迷うのが「プラットフォームをどうしよう??」という点です。「クラウドファンディング サイト 比較」などと検索すると、比較してあるサイトがいっぱい出てきて、目が回ります・・・。
そんなあなたのために、どのプラットフォームを選んだらいいか、簡単に教えます。NPOやNGOなど、ソーシャル系の団体向けの記事となります。寄付型クラファンを何度か実践していて、クラファン関係のオンラインセミナーにも何度も参加して、見えてきた答えです。
この記事は、こんな方におすすめです。(めちゃくちゃマニアックな記事になってます・・・)
- NPO・NGOなどのソーシャル系団体
- 寄付型クラウドファンディングに挑戦したい
- プラットフォーム選びで困っている
プラットフォームを選ぶ軸を明確にする
プラットフォームを選ぶ前に、選択基準を明確にすると早いです。「とにかく手数料が安いのが良い」「この人に伴走支援してほしい」などがある場合は、その軸でプラットフォームを比較すれば、一瞬で決めることができます。なので、まずどの軸を重視するか決めましょう。
寄付型か、リターン重視型か
クラウドファンディングには、寄付型か、リターン重視型かがあります(他にも投資型とか前売り券型とかいろいろありますが、割愛)。
我々はソーシャル系ですので、寄付型が良いかと思います。純粋に、「こういう課題があるので、寄付を集めています」というアプローチですね。
リターンとしては、お礼メールや報告は最低限必要ですが、あとは特になしで良いと思います。当会の場合は、1万円以上の寄付で学校の看板に名前を入れ、落成式への参加権利を得られることとしました。お金がかからずに楽しいリターンが用意できる場合は、準備するのが良いと思います。(チン学校建設クラファンの仮サイトはこちら)
ただ、リターンはできるだけシンプルにするのがよいです。たくさんリターンがありすぎると、選ぶのも迷ってしまうし、管理も大変になります。
All or Nothingか、All inか
目標金額集まればOKだし、未達だとゼロになってしまうのがAll or Nothing方式です。一方、目標未達であろうが、寄付していただいたものは全部受け取れるのがAll in方式です。
我々ソーシャルセクターは、特別な事情(何かの建設費にするとか、足りないと意味がない場合など)がない限りは、All in方式がよいかと思います。せっかく寄付してくれる人が見つかっているのに、目標未達だったらもらえないって、勿体なさすぎません?
手数料は安くてナンボ
プラットフォームを使用する際は、クレジットカードの決済手数料(だいたい5%)と、プラットフォーム使用料がかかってきます。15%くらいかかるプラットフォームを使うと、たとえ100万円あつめられたとしても、15万円はプラットフォームにとられるので、85万円分にしかなりません。これが、勿体ないとどうしても感じてしまいます・・・。
手数料が高くても、凄腕の伴走支援者がついてくれるとか、プラットフォーム経由で新規の寄付者が入ってくるなどがあればいいのですが・・・。
現状のクラファン業界では 、プラットフォームを回遊して「どこの団体に寄付しようかな」と選ぶ人はほぼゼロです。「楽天お買い物マラソンがあるから、楽天内のショップで何か買おう」と回遊するような人はよくいますが(私のこと!)、クラファンプラットフォームではほとんどないのです。皆、その団体のSNSやイベントなどでクラファンを知って寄付する人ばかり。
なので、私は手数料が安いプラットフォームを使いたいと考えています。なるべく多くのお金を事業に活用するためです。
その他、細かい視点
- クレジットカード各社が使えるか
- 見やすい、使いやすいページデザインか
- 寄付者の情報をもらえるか、管理しやすいか
- 緊急支援など急ぎの場合、すぐにプロジェクトを立ち上げられるか
などは少し気にしたりします。が、だいたい有名どころはクリアしていることが多い。
おすすめプラットフォーム
ということで、ソーシャル系団体がプラットフォームを選ぶ際の軸は
- 寄付型(リターンは必要ない)
- All in方式ができる
- 手数料ができるだけ安い
がおすすめとなります。その軸でプラットフォームを選ぶと・・・Syncableが一番良いと考えています。
Syncable(シンカブル)
Syncableは、ソーシャル系団体のクラファンに強いサイトだと思います。知名度は有名どころのREADY FORやCAMPFIREには負けますが、使い勝手は圧倒的に良いと思います。ソーシャル系団体なのにREADY FOR使っている団体を見ると「なんでだろう?」と私は思ってしまう・・・。有名だから?
手数料が11%
とにかく手数料が安い!クレジットカード手数料5%+Syncable手数料6%の、合計11%が引かれます。CAMPFIREやREADY FORは17%です。そう考えると、11%は安いです。(READY FORは伴走支援なしだと12%になるみたいですが、それでも高いよね・・・)
しかも、2020年8月31日までは、1000団体突破キャンペーンというのをやっていて、Syncable手数料6%を0%にしてくれています。ということは、必要なのはたったの5%!!!やばすぎです。
キャンペーンの時期を利用して、当会もバースデードネーションを実施しました。
寄付型、All in方式のみ
Syncableは、寄付型のみ実施できるようです。
READY FORやCAMPFIREなどは、リターン重視型でも利用できて。「1,000円だったらこのリターン」「10,000円でこのリターン」など、購入ボタンが分かれています。
(もし15,000円とか20,000円とか寄付したいと考えていた人も、10,000円か30,000円しないといけないシステム・・・)
Syncableの場合は、「寄付する」ボタンを押して、好きな寄付金額を自分で入力して寄付する方式です。なので、細かくリターンを設定したい人には不向き。
でも、我々ソーシャル団体は、寄付型でいくのが良いという考えですので、別にリターン設定ができなくても問題ないです。また、All in方式しかできなくても、むしろありがたいくらいです。
リターンをいろいろ設定したい、All or Nothing方式をしたいという方には、Syncableは向きません。
他にも嬉しいポイント
Syncableは、団体登録さえ事前に済ませておけば、審査なしでプロジェクトをたちあげることができます。他のプラットフォームは審査に数日以上かかります。緊急支援などで急いで寄付を集めたい場合は、Syncableはお役立ちですね!
Syncableは、以前はJCBが使えなかったのですが、最近は使えるようになったみたいです。また、Amazon Payが使える唯一のプラットフォームだそうで、そこも良いポイントです!
今はキャンペーン中で、NPOの寄付集めに役立つセミナーを無料でやってくれてます。小さい団体の登録も多く、NPOに向き合っている姿勢を感じられるSyncable!私は完全にSyncableびいきです(笑)。
番外編:Salesforceを使う!
こんなにSyncableをベタ褒めしているなら、8月のクラファンもSyncableを使うんでしょ??と思うでしょ。
でも、私たちは8月のクラファンは、別のところを使うことにしました。その名も「Salesforce」。団体で使っている顧客管理データベースです。なんと、データベース業界もクラファンプラットフォーム業界に殴り込みを始めたようなのです。
手数料が5%のみ!
Salesforceで、クラファン用のページを作ってもらえます。プラットフォーム手数料は常に無料!つまり、クレカ決済手数料5%のみなんです。手数料安い命の我々としては、ありがたすぎる。
銀行振込や手渡しでも数値に反映できる
クラファンをしていると、「クレカ持ってないから、銀行に振り込みます」「事務所に寄付金を持ってきました」という方もいらっしゃいます。ネットでの申し込みに慣れていない世代の方など、まだまだ振込派の人もいっぱいいるのです。
Syncable、CAMPFIRE、READY FORなどのプラットフォーム上で「あと〇〇円!!」「〇%達成!!」というゲージがありますよね。このゲージがあることで、クラウドファンディングは盛り上がります。「今どれだけ寄付が集まっているのか」を見える化するこのゲージは、超大事!!
このゲージに、振込・手渡し分を反映させたければ、団体が代理登録をする必要がありました。団体のクレカを使って、手渡しでいただいた寄付をプラットフォームに入金しないといけないんですね。これを「代理入金」と呼びます。
代理入金をすると、プラットフォーム使用料やクレカ使用料がとられます・・・。11%とか17%とかのやつです。勿体ないですよね。プラットフォームとしては、代理入金してもらったほうが儲かるので、やってほしいんでしょうけど。なるべく無駄な手数料を節約したいソーシャル団体としては、「サイト上では〇〇円ですが、手渡しで〇〇円プラスであります」的な広報を文章で小さくするしかないです。
Salesforceの良いところは、銀行振込や手渡しの場合、顧客管理データベースに入力することで「あと〇〇円!」「〇%達成!」に反映することができるんです。つまり、代理入金なんて愚かな真似をせずに済むのです。
プラットフォームが手数料収入で成り立っているのに対して、Salesforceはデータベース使用料で成り立っているビジネスモデルの違いのおかげで、こういうことができるんですね。当会のような、振込や手渡しが多い団体としてはありがたいです。
Salesforceの弱点は・・・
Salesforceは、まだクラファンを実装したばかりなので、不自由な点もあります。
- 「新着情報」を更新できない
- 支援者コメントをクラファンページに載せられない
- SEO対策など特にされていない
- Salesforceを使っている団体しか利用できない
今後、改善されてはいくようです。当会の場合、「新着情報」はFacebookを使えばいいかなと思っているので、まあなんとかなるでしょう。
SEOに弱いのも、別に「ミャンマー 学校建設 寄付」などと検索する人なんてほぼゼロでしょうから、関係ないといえば関係ないです。
Salesforceは、NPO業界ではけっこうメジャーなデータベースですから、使っている団体も多いのでは?ということで、もしSalesforceを使っているというのであれば、クラファンフォームを実装してもらうのがおすすめです。試してみてから、感想をまた書きたいと思います。
(7月29日追記)
Salesforceでクラファンページを作成しました。ちょっと重い・・・??のが気になります。あと、寄付がいくら集まっているか、数字では出るけど棒グラフが出ないのがちょっと寂しい。エモエモ文章書きましたので、良かったら見てみてください!!
ミャンマー・チン州に暮らす子どもたちのために学校を建てたい!