NGOミャンマー駐在員のハリキリノート

ミャンマーのタウンジーという町で、国際協力をやっています。NGO活動、ミャンマーあれこれ、国際結婚育児ネタなど

UNHCRと、彼氏ができたらブログが炎上した話

ミンガラーバー(ミャンマー語でこんにちは)

ミャンマーで国際協力をやっている鈴木亜香里です。今日は、UNHCRの事務所のことと、私のブログが炎上した話です。全く関係なさそうな2つの出来事で、いろいろと考えることがありました。まだ整理できていないところもあるのですが、書くことで自分の考えを整理したいし、考えるきっかけになればと思っています。長いですが、お付き合いください。

 

UNHCRの事務所で目にしたものは・・・

ロヒンギャー問題の地「マウンドー」へ

大学生4年生のとき、あるNGOに毎週通っていました。4年生にもなると、授業がない曜日がでてきます。毎週木曜日は授業がなかったので、その団体に通い、イベントの広報をしたり、なんやかんやとお手伝いをさせていただいていました。あまり役に立てていたとは思いませんが。

 

その団体のご厚意で、夏休みに1か月弱、ミャンマーにある現地事務所でインターンをさせてもらえることになりました。現地事務所といってもヤンゴンではありません。今、ロヒンギャー問題で注目されている、ヤカイン州のマウンドーという小さな町です。その当時から、UNHCRや各国のNGO団体が入り、難民に対する支援や、仏教徒とイスラム教の相互理解を促す事業を行っていました。

 

私が行ったのは2007年。当時から、観光客が普通に入ることができない地域でしたので、ビザの手配や滞在手続きなど大変だったと思います。役立たずの学生ボランティアに対して、そこまでやってくださったことに、大変感謝しています。自分がNGO職員になって、学生さんを受け入れる大変さを知った今は特に。

 

夢のような場所だった

あるとき、UNHCRで会議があるからと、マウンドーにあるUNHCRの事務所に連れていってもらいました。事務所の敷地内に一歩足を踏み入れると、全くの別世界が広がっていました。おしゃれな感じのバーと、ビリヤード台。テニスコートもあると聞いたような気がします。

 

2007年といえば、ヤンゴンも今ほど発展しておらず、バーなんてものは見たこともありませんでした(高級ホテルにはあったかもしれないけど、学生の私には縁がなかった)。コカ・コーラですら、なかなか見かけない貴重なものだったんです。

 

たぶん、ヤンゴンでバーやビリヤード台を見たとしても、ちょっと驚いたと思います。それが、マウンドーという地にあったことに驚愕し、茫然としてしまいました。セレブな香りの漂う大人の社交場でどう過ごせばよいのかわからず、静かに座ってジュースをすすっていました。

 

すぐ近くに、難民と呼ばれる貧しい人たちがいる町。そこにある、贅沢なバーとビリヤード台。楽しそうに話している外国人たち。

国連の人たちは、大変な環境で大変な仕事をされるので、リラックスできる空間が必要だということはもちろん理解しています。でも、何か説明できないモヤモヤが残ります。

もしかしたら、夢だったのかもしれない。それほど、現実感がなく、自分の中でどう消化したら良いのかわからない光景でした。

 

 

彼氏ができたら、ブログが炎上した話

ミャンマー人の彼氏ができました

話は変わって、2011年のこと。地球市民の会の駐在員として、私はミャンマーに戻ってきました。今度はマウンドーではなく、シャン州です。日々の活動にも慣れてきて、私には彼氏ができました(今の夫です)。

 

今では財布の紐が固い夫も、付き合い始めた当時は私を甘やかして、ゴールドのアクセサリーを買ってくれたり、時計をプレゼントしたりしてくれました。ウィンドウショッピングに行けば、クツや服を買ってくれて!今までそういう経験が全くなかった私は、嬉しくて舞い上がり、ブログにノロケ記事を書いたんです。

ngomyanmar.blog107.fc2.com

古い記事だから恥ずかしいけど、中身が気になる人はいるでしょうからリンク貼っておきます。読まなくてもいいです。付き合いはじめで舞い上がってること、クツや服を買ってもらったとか言っても、500円くらいのものであって、ブランド物とかではないことを言い訳として付記しておきます(ブランド物なんてタウンジーで手に入らない!)。

 

ブログ炎上事件

このブログが、炎上しました。炎上というほどのことでもないですが、批判的なコメントがいくつか来ました。初めてのネガティブコメントに傷ついて、しばらく落ち込んでいたことを覚えています。

 

ごめんなさい。 ちょっとガッカリ、 でも、気にしないでくたさい。独り言です。 ミャンマーでパゴダ巡りをすると、1$の土産物を売るために小さい子供たちが頑張っている姿が思い出されます。

まわりをもっと見て! ひどい話です。近隣の貧しい人たちの暮らしをいつも見ているのでしょう?何のためにそこにいるのですか?

恋愛ブログなら『お幸せに~!』ですが…残念です。 団体名まで出して活動をしてるのなら書く内容を少し考えてみてはいかがです? タイトルの夢実現日記って結婚ですか?? どうか、もっと周囲を見て責任ある行動言動をお願いします。

 

 私は本名も写真も出して、いわば丸裸、全く無防備の状態でブログを書いています。でも、コメントをしてくる人は匿名で、いったい誰なのかもわからない。見えないところから攻撃されることがこんなに怖いことなんだなと思いました。

 

今なら、いくらでも反論できます。NGOの職員だって自分の生活があるし、長く続けるためにはお金だって必要。批判している人は、ミャンマーの人を「かわいそうな人」として見ていて、私は対等な関係で見ているなどなど。でも、その当時は落ち込むしかなかったです。私の恋愛は祝福されていないのだなと感じました。

 

そういうことをブログに書くなという意見もあるでしょうが、私の日記ブログなのでね。日本にいる家族や友人に近況報告するという意味で書いていたブログなので、報告したかったんです。公開しているのが悪いと言われたら、それまでですが。 

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結婚6周年です。

 

「近くに困っている人がいるのに」

UNHCRのバーで感じたモヤモヤと、私のブログを批判した人たちが感じたモヤモヤ。実は同じものだったのではないかと、最近考えるようになりました。キーワードは、「近くに困っている人がいるのに」です。

 

「近くに難民がいるのに、贅沢していて悪い!」「近くにいる困っている人を目にしているのに、彼氏とのろけるな!」と、遠くから、匿名で批判している人がいます(私も含め)。批判している人も、おそらく時には贅沢したり、恋愛したりしているはずです。

 

では、言いたいです。

「同じ地球上に困っている人がいるのに、あなたは贅沢をするんですか?」と。

インスタやFBに贅沢な写真をあげて、リア充アピールしている人が山ほどいるのに、なんで最前線で行動している人たちだけを批判するの?

 

距離が近いから、遠いから。近いと、困っている人を目で見ることができます。でも、遠くにいれば直接は見えないから、想像力を働かせないといけない。あなたは想像力を働かせていますか?

 

 

別の視点で考える友人

先日、ブログが炎上した話を友人にしました。彼女の意見は、「NGOスタッフが正当な給与を手にしたり、たまに贅沢をするのは全く問題はない。が、鈴木さんの近くのミャンマーの人がそれを見たら、貧富の差や距離を感じて傷つくのではないか。だったら、書くべきではない」という意見でした。

 

私のブログは日本語だから読まれる心配はないのですが、FBやインスタには美味しいものを食べたり旅行したときのリア充写真載せてるし、ミャンマー人のFBフレンズもいっぱいいます。でも、皆楽しいスタンプとかコメントくれるけどなぁ。

 

友人の場合は、子ども食堂をやっています。国際協力ではなく、国内の、半径○km以内にある問題にアプローチしています。本当に必要な人が子ども食堂に来られるように、貧困という言葉は絶対使えない、大きく広報して資金集めができない、子ども食堂の日は派手な服装にならないように気を遣う、旅行に行った話も子ども食堂ではしないなどと、大変気を付けているそうです。それは、「この人には十分なお金やサポートしてくれる家族がある。それに比べて私にはない」と傷ついてしまう人がいるから。

 

正直、私は「傷つく人がいる」ということをあまり考えていなかったです。そこまで想像力が足りていませんでした。十分、ミャンマーに溶け込んで現地化しているつもりでいましたが、それでも自分には日本という国があり、日本語を使って、日本に向けて仕事をしているんだなあと、改めて気づかされたのでした。

 

 

コメント

今日はちょっと語ってしまいまいした。自分でもまだきちんと整理できていない内容なので、私の意見を表明するというよりは、皆さんの意見も聞いてみたい。そんな気持ちで書きました。炎上はヤメテね・・・(笑)。「UNは金の無駄遣いだ!」などと浅い理解で終わらないことを願います。言いたいのはそこではないので。