NGOミャンマー駐在員のハリキリノート

ミャンマーのタウンジーという町で、国際協力をやっています。NGO活動、ミャンマーあれこれ、国際結婚育児ネタなど

イスラム教に改宗して後悔した唯一のこと

ミンガラーバー(ミャンマー語でこんにちは)。

中国系ミャンマー人でムスリム(イスラム教)の夫と結婚している鈴木亜香里です。

 

前回の記事で、私がイスラム教に改宗した経緯を書きました。

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今日は、イスラム教に改宗して後悔した話を書きます。基本的にあまり後悔することはないのですが、1点だけ不安なことがあるんです。「聞いてないよ!!」と言いたいくらい、改宗する前は考えもしなかったので、これからイスラム教に改宗することを考えている人の参考になれば幸いです(そんな人、いるのか!?)。

 

イスラム教の葬式作法

私が不安なのは、お葬式のこと。自分の葬式もそうですし、夫が死んだときのことも今から不安です。

 

死んだら、その日のうちに土葬される

結婚して少し経ったときのこと。パンデー(中国系ムスリム)の方が亡くなりました。そのとき、義母がイスラムの葬式について教えてくれました。

 

・亡くなったら、その日のうちに土葬しなければならない。

・同性の家族が、亡くなった人の体を清める。一生のうちに3回やるのが良いとされている。

 

などと教えてくれました。

日本では火葬が一般的ですが、ミャンマーでは仏教徒も土葬の場合もありますので、「まあそんなもんなのかな~」と思っていました。

 

私が見た夢の話

ある日のこと。私はいつものように、朝から仕事に出かけていき、夕方に家に帰ってきました。すると、義母が「息子(私の夫のこと)が亡くなったよ」と言うのです。すでにイスラム教の作法通り、土葬を終えたところだよ、と。

すでに夫の遺体は埋められていたので、顔を見ることができません。私は、夫が亡くなったことをいつまでも信じられず、受け入れられないまま・・・。町をさまよい、夫と同じ服(西友で買ったフリース!笑)を着た人を見つけると、追いかけていって顔を確認する日々。夫を見つけることができず、いつまでも彷徨い続ける・・・。

 

という夢を見ました。あまりにもリアルで、起きてから号泣しました(笑)。

 

遠く離れて住む家族は

日本には、通夜や葬式がありますよね。亡くなってから数日間は、家族が一緒に過ごして、その人の死を受け入れるという時間を持つことができます。

それは当たり前のことだと思っていたけど、イスラム教だと「その日のうちに土葬」が原則。私の見た夢のように、亡くなった姿を見ることができず、死を受け入れづらくなってしまう可能性もあります。

 

昔は、家族は近くに住んでいたから問題はなかったのでしょうが。我が家の場合、日本とタウンジーは、最短でも1日以上かかります。もし、私が日本に一時帰国中に夫がタウンジーで亡くなったら、どんなに急いで戻っても、土葬に間に合いません。しかも、土葬だから骨すら手元に残らない・・・。

また、もし私が何か事故で急死したとして、日本の両親がタウンジーにやってくるまでに私は土葬されてしまいます。娘の死に驚きながら急いでやってきて、何もない・・・。これって、あんまりな話だと思いませんか?

 

なので、私は夫に「もし私が死んでも、すぐに土葬してくれるな。死ぬときにイスラム教やめる」と言ってあります。でも、義母とか周りの人に押し切られて、どうせ土葬されるんだろうな。

 

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イスラムイベントに参加する義母と私


亡骸について考える

私にとって、家族が亡くなったら、その亡骸をこの目で見るというのが大事なようです。こんなこと、結婚前はぜんぜん考えもしなかったけど。こんな考えになったのは、ある経験が元になっています。

 

従兄を撫で続けるおばさん

私が中学生のとき、従兄が亡くなりました。まだ大学生だったのに、バイクの事故で即死でした。そのとき、おばさん(従兄のお母さん)が、従兄の亡骸をずーっと撫でていたのが印象に残っています。自分より先に亡くなってしまった我が子と、ゆっくりお別れする時間があって、おばさんは少し癒されたのではないかと思います。そういう経験があるので、その日のうちに土葬は嫌なんです。

 

ドナーカード

同じ理由で、臓器移植のドナーカードも持つ勇気が出ません。家族が死者と向き合う前に、遺体に傷をつけることになるからです。日本に住んでいるミャンマー人の友人に「ドナーカードは持つべき!」と熱弁されたことがありますが、どうも私には受け入れがたい。イスラム教徒や、ミャンマーの仏教徒は、「身体は魂の入れ物にすぎない」と考えるので、お葬式ではあまり泣かないらしいですが、私はやっぱり悲しいと思うもん。臓器移植を待つ方のためにはドナーカードを持ったほうが良いのはわかっていますが、そういう理由で今は持っていません。まあ、ミャンマーに住んでいるので、持っていても意味ないんですけどね。

 

死生観

死生観というと難しいですが、お葬式の話となると少しイメージしやすくなりますね。宗教は生死と直結する部分も多いので、本当は改宗する前によく考えておくべきだったのかも・・・と思います。まあ、今さらなので仕方がないですが。

 

 

まとめ:イスラムに改宗する前に考えておくべきこと

イスラム教になるときに私が考えたのは・・・

 ・ブタ肉が食べられなくなる

 ・酒が飲めなくなる

 ・断食がある

 ・お祈りしないといけない

 ・メッカに行ける!

くらいでした。というか、ほぼブタ肉のことしか考えていなかった(笑)

 

他にも、トイレでティッシュじゃなくて水で洗う、男子の割礼問題などがありますが、上記はいずれもささいなこと。ゆるムスリムにとっては、うまいことスルーできる範囲です。

でも、葬式は周りの目もあり、なかなか自由にできないので、よく考えたほうが良かったです。まあ、よく考えたところで、結婚前のラブラブな二人にとって、結論が変わることはなかったでしょうけどね!

 

男子の割礼問題についてはこちらを参照。旧ブログです。

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