NGOミャンマー駐在員のハリキリノート

ミャンマーのタウンジーという町で、国際協力をやっています。NGO活動、ミャンマーあれこれ、国際結婚育児ネタなど

「世界の問題より、日本の問題を優先しろ!」と言う人を、サクッと退治する方法

ミンガラーバー(ミャンマー語でこんにちは)

ミャンマーで国際協力活動をやっている鈴木亜香里です。

 

国際協力をやっていると、たまに「日本人なら、世界の問題よりも日本の問題を優先すべき」と言われることがあります。

 

私がこれを初めて言われたのは、大学生のとき。文化祭に国際協力サークルでお店を出して頑張っているときにそれを言われて、自分の活動を否定されたような悲しい気持ちになったことを覚えています。

 

こういうことを言ってくる変な人は放置しておけば良いのですが、モヤモヤするのも事実。ということで、今日は「日本人なら日本の問題を優先しろ」という人に対して、私ならどう答えるかを書いていきたいと思います。

 

 

論理的な模範回答

こちらによくまとまっていますので引用させていただきます。

【国際ソービズ通信】No.6 <なぜ、日本は、国際協力、途上国支援が必要か?>

①感謝と恩返し。日本自身がかつて途上国で、援助・支援を受けた立場だし、 日本ではとれない資源・原材料を供給し続けてもらい、 市場として日本製品を売らせてもらっているから(”お客様”でしょう?)。 
②罪滅ぼしと代償、取り過ぎた利益の一部還元。途上国の不利益、犠牲の上で、 経済発展してきた面があるという事実は否定できないので。 
③不公正な仕組みを変えるアジア・アフリカ同胞への支援・加勢。世界中の先進国の中で、これができる資格と能力のある国はどこだろうか? 
④日本の未来を守るための安全保障上、欠かせない投資。日本の将来、未来は、途上国の資源や市場、労働力にかかっているので。 
⑤結局、日本の平和と繁栄は、世界の大半を占める途上国の平和と発展にかかっている。  

 

また、国際協力系ブロガーNo.1の原さんも、ブログで書かれています。

www.kantahara.com

 

ごもっとも。ここを理解していれば、「世界の問題より日本の問題」と言ってくる変な人のことを、わざわざ気にする必要がない!と、安心できますね。

 

ただ、長くて説明しづらいんです。私自身、論理的な動機で国際協力をしているわけではないので、自分の言葉でこれを説明する自信がないです(だから引用した)。

変な人に対して、もっとシンプルに切り返したいと思います。

 

 

で、あなたは何をしていますか?

先日、ある有名人が途上国に対する教育支援をするつもりだと発言。それに対して、「途上国への支援も良いが、日本国内でも子どもの貧困や教育の問題がある。それにも目を向けてほしい」と意見をしている人がいたのです。「出たな!変な人」という感じです。

 

そのときの有名人の返しが、

「あなたは、その国内の問題について、何をしていますか?」

という、たったの一言。

 

意見した人は、「自分もやろうと思っていながら、何もできていませんでした。すみませんでした」とモゴモゴ・・・。

 

本当に見事な切り返しで、ちょっと感動しました。今度からこのフレーズを使いたいと思います。

結局、そういう質問をしてくる人はだいたい自分は何もしていません 。だって、自分が国内問題に取り組んでいたとしたら、国際問題に取り組んでいる人にも、同志という意識や感謝の気持ちがわいてくるはずですから。

 

 

いや、地球市民の会なんで

私の所属する地球市民の会的は、「地球市民なんだから、日本に限らす、地球のことをやります」とも言えます。「日本人だから日本のこと」と言ってくる人に、同じ土俵に乗って回答する方法ですね。

ちなみに、「地球市民」は、ただ地球に住んでいる人を示しているのではありません(それは「地球人」)。当会の定義では「地球市民とは、他者の幸せを自分のことのように喜べて、他者の悲しみを自分のことのように悲しめる人のこと」です。そこに国境は関係ないんです。

terrapeople.or.jp

 

 

私にとっては、ミャンマーのほうが身近

「日本人だから日本の問題」と言うのは、自分の身近にある問題に目を向けようという意味なんでしょう。ただ、日本よりもミャンマーにいる時間が長い私にとっては、すでに日本よりもミャンマーの問題のほうが身近な問題なんです。

自分の身近にあって、自分が目にして実感があることに、それぞれがアプローチすればいいですよね。国内問題のほうが身近という方には、ぜひ国内問題に取り組んでもらいたいです。一人でなんでもやるのは無理なので、役割分担しないと。

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国際協力が、国内のためになることもある

「国際協力の手法を日本に生かす」ことが、最近増えてきています。

顕著だったのは、東日本大震災のとき。海外で緊急支援を行ってきた国際協力団体が、そのノウハウを生かして、東日本大震災の緊急支援に動き、活躍しました。また、復興支援の段階でも、多くの国際協力団体がかかわっています。

 

また、東日本大震災のとき、ミャンマーの人たちから励ましのコメントや、支援金を預かりました。このときは、当会だけでなく、たくさんの団体が「途上国から支援してもらう」という経験を積んでいます。これは、今まで国際協力をやってきて関係性を築いてきたから、心配してもらえたのでしょう。「困ったときはお互いさま」の精神ですね。

 

災害のときだけではなく、平時の活動ももちろんあります。例えば、海外での農村開発の経験を活かし、日本の「地域づくり」を行っている団体ですね。こんな風に、国際協力と国内支援が相乗効果を生むこともあることを、バカな質問をしてくる人には知ってほしい。広い視点で考えましょうね。

 

 

国内問題に取り組む団体に寄付しよう

東日本大震災のあとは、助成金の中にも「東日本大震災の復興用特別枠」を準備して対応しているものも多くみられました。でも、途上国への支援が全くゼロになることはありませんでした。時期によって、国内支援にウェイトを置いたり、国際協力にウェイトを置いたりして柔軟に対応するのが大事なんでしょう。

 

国際協力に取り組んでいる私も、日本にもたくさん問題があることは知っているし、自分が知らない問題がまだまだいっぱいあるんだろうなと思います。日本の問題について活動している人に対しては、尊敬する気持ちや感謝の気持ちはもちろん持っています。

皆が一つの一番重要な問題に取り組むというのは無理な話(そもそも、一番重要な問題って何?)。それぞれのフィールドで、それぞれが頑張って取り組むのが大事だと思います。

 

国際協力を目指す人・取り組んでいる人にオススメなのが、「国内問題に取り組む団体に寄付」をすることです。時間や労力を出すことができなくても、お金ならなんとかなりますから。月1,000円などの少額でよいので、どこか自分が共感できる団体に寄付をしておけば、「あなたは、その国内の問題について、何をしていますか?」と切り返すときに、より切れ味が出ます。「私は○○という団体に寄付してますけど(ドヤッ)」と言えますからね。あと、他団体はどういう風に活動しているのか、寄付者対応はどんな感じなのか、勉強になります。

ちなみに、私は子どもがいることもあり、日本の子どものことも気になっています。友人が主催していて、話をじっくり聞いて共感した「こども食堂」の事業に寄付しています。