NGOミャンマー駐在員のハリキリノート

ミャンマーのタウンジーという町で、国際協力をやっています。NGO活動、ミャンマーあれこれ、国際結婚育児ネタなど

マンゴーが強風でダメになったとき、起業家とNPOの考え方の違い

ミンガラーバー。

ミャンマーで循環型農業の普及活動をしています、鈴木亜香里です。

 

先日、私のいるシャン州で強風が吹きました。私の所属する地球市民の会が運営する農業センターにも、被害がでました。木が倒れたり、熟す前のマンゴーが落ちたりしてしまったのです。

 

そのマンゴーをどうするかについて、いろいろと考えて反省することもあったので記事を書きました。まだまだ頑張らないと!

 

強風被害

 

建物破損

建物は、台所の部分の屋根がやられています。今は生徒たちが村に帰っているため、こちらの台所は使用しておらず、人もいなかったのでセーフでしたが・・・修理費を考えると頭が痛い。修理にいくらくらいかかるのか、計算してもらっているところです。

 

こういう研修センターの運営は、建物の維持管理もあるので大変です。電気の配線がネズミにかじられたり、水道管に穴があいたり、50万円もする大きな変圧器の上にリスが落ちて変圧器が壊れたり・・・。はぁ・・・。

 

マンゴー

落ちてしまったマンゴーは、ミャンマーで一番おいしいと言われている「セインタロンマンゴー」です。しかも、手間がかかるオーガニック栽培。巷で売られているセインタロンのほぼ100%は農薬をかなり使っていますが、タンボジセンターでは実の一つ一つに手作業で袋掛けをし、虫が入らないように大事に育てていました。

木に登って袋がけをする様子

木に登って袋がけをする様子

一部のマンゴーはまだ木に残っていますが、落ちてしまった大量の青いマンゴーはどうしたものか・・・。勿体ないとは思いつつ、どうすることもできずにいました。とりあえず本部に連絡し、twitterでつぶやいて終わっていました。

 

対策

起業家の友人からのメッセージ

twitterでつぶやいてしばらくしてから、ミャンマーで起業している日本人の友人からメッセージが来ました。

 

「こういう事情で〇〇個熟してないマンゴーがあります。買ってくれる人いませんか?と募ったら、多少買いたい人出てくる気がします!日本もいま、コロナで売れなくなった農作物からお菓子、いろものが救済セールみたいのやってて、結構みんな買ってますよ」

「それか、スポンサー付けて、医療従事者に寄付もありですね」

 

と、アドバイスをくれたのでした。

 

あきらめていた自分に気づく

私だって、コロナ救済セールみたいなのはいつもネットで目にしていました。日本の友人たちが、東京バナナの詰め合わせや玉ねぎなどを大量購入しているのを見てました。でも、自分のところのマンゴーが被害にあったときに、すぐにそれを思いつくことができず、自動的にあきらめていました。

 

普段、「NPOだからこそ、お金を稼がないといけない」とか、「いつもお金を稼ぐことを考えている」とか言っているくせに、ぜんぜんできていなかったことに気づいてショックでした。

 

センターのマンゴーが売れなくても、すぐにセンターが運営できなくなるわけではないです。日本の支援者さんからの支援に支えられているので、なんとかなってしまいます。だからと言って、それに甘えていていいのか!!と、起業家の友人と話して気づかされたのです。

 

こういう記事で、ドヤ顔で「NPOはお客さんと別のところから収入を確保しなければなりません。寄付、助成金、ソーシャルビジネスなど、まさにアイディア勝負!」などと語っていたのが恥ずかしい・・・。

 

www.ngomyanmar.com

www.ngomyanmar.com

 

センター長の作戦

センター長に、マンゴーはどうするつもりなのか、電話して聞いてみました。すると、すでに2つの作戦が開始されていました。さすがセンター長です!

 

頑張って熟らす作戦

一部は熟れる可能性があるので、葉っぱにくるんだそうです。何の葉っぱか忘れましたが、くるむとマンゴーが早く熟れるようになる葉っぱがあるらしいです。

また、お米の中に入れたり、バナナやリンゴと一緒に保管すると早く熟れるとネットで見たので、それを伝えてやってもらうことにしました。

 

薄切りにして乾燥させる作戦

青マンゴーを薄切りにして、乾燥させると、おかずに入れて使えるそうです。トマトの代用的な感じ?よくわかりませんでしたが。

 

センター長の実家や親せきが使うと言ってくれていて、代わりに玉ねぎをくれるそうです。物々交換!

薄切りにされた青マンゴー

薄切りにされた青マンゴー

近場で売るのは困難

熟れていないマンゴーでも、サラダにして食べることができます。青パパイヤのサラダ(ソムタム)のマンゴー版みたいな感じです。

ローカルの人はけっこう食べるので、センター周辺で売れないか相談してみました。しかし、近隣の人たちもたくさんマンゴーが落ちてしまっているため、売るのは難しいとのことでした。

 

greenhillのお客様感謝企画に!

センター長といろいろ相談した結果、一部はいつも農作物や卵を買ってくれている人むけにプレゼントにしようということになりました。

 

タンボジセンターの農作物や卵は、ヤンゴンのgrennhillというブランドで販売しています。日本人や外国人のお客さんが多いです。青マンゴーを販売することも考えましたが、食べなれているローカルならまだしも、日本人や外国人は食べなれていないのであまり売れないことが予想されます。

 

だったら、お客さんへ感謝企画としてプレゼントしようと考えました。これで美味しいと思っていただけたら、熟れたマンゴーも買っていただきたいという狙いも含めてです。

オーガニックのマンゴーなので、巷で売られているものと全く味が違ってとてもあっさりしています。オーガニックのセインタロンを一度食べると、今までマンゴーの味と思っていたあの粉っぽい香りが、実は農薬の香りだったと気づくことになりますよ。他の農薬を使ったマンゴーが食べられなくなります。

 

さっそく、greenhillのwebサイトに、青マンゴーのサラダのレシピをアップしました。

greenhillmm.com

 

数日後に、卵と一緒に青マンゴーをヤンゴンに送る予定です。ヤンゴン在住の方はこの機会に、卵と一緒に青マンゴーサラダをお楽しみください!

https://www.facebook.com/organicgreenhill/

 

 

まとめ:これからも助けてください!

今回、センター長の熟れさす作戦と薄切り作戦、そしてgreenhillでのプレゼント企画をできることになって、少しホッとしています。

でも、プレゼント企画はお金には変わらないので、まだまだ甘いとも感じています。建物は壊れて修繕しないとだし、マンゴーで本来得られた利益は減ってしまいました。

 

NPOは、企業の人やソーシャルビジネス畑の人から「自分でお金を稼がない」などと下に見られることがあって、私は怒っていました。「NPOだって、ソーシャルビジネスはやるし、お金を稼がないと事業ができないぞ!」と。でも、実際はまだまだ甘かった・・・・。起業家の友人とは、脳の使い方が違うなと反省したのでした。

 

たぶん、ソーシャルビジネスにしていくのには、アイディアが大事でしょう。でも、一人で考えていくことには限界があります。うんうん一人でうなっていてもダメで、ビジネスの本を読むだけでもダメ。だから私はいろんな人の力を借りたいと思っています。

 

twitterでつぶやくのも、このブログを書いているのも、誰かからアイディアをもらえたり、協力してもらいたいと期待してのこと。いつも応援してくれる支援者さんや仲間や友人に助けられています。まだまだダメな私ですが、これからも何かあったらどうぞ助けてください。よろしくお願いします。