ミンガラーバー(ミャンマー語でこんにちは)。
ミャンマーでNGO駐在員をやっています、鈴木亜香里です。
2019年8月に、ミャンマーのモン州で大規模な土砂災害が発生しました。大雨で地盤が緩み、土砂崩れが発生。60名以上の死者が出ました。
ミャンマーでは大きなニュースになりましたが、なかなか日本語や英語で報道されないため、日本ではほとんど知られていませんでした。そこで、当ブログでは、ミャンマー人のFacebookを日本語に翻訳し、情報提供しました。
また、地球市民の会で支援金の募集を行い、9月15日に支援金を協力者に渡しました。支援金の使途について追記しています。
土砂災害の概要
発生日:2019年8月9日
発生地域:ミャンマー南東部 モン州
被害状況:66名死亡、約10名が行方不明(8月14日現在)
29村が被害を受け、20,000人以上が避難。
こちらのサイトには写真が多く掲載されています。
ミャンマー人の反応
支援物資はあるのに、川の向こう岸に渡れない
ミャンマー人のインターネット上の情報源は、Facebookがほとんどです。google検索はあまり使われません。フォントの問題等あり、Facebookが一番使いやすいんです。
White Color パラヒタ支援団体(2019年8月13日)
チャイマヨー町の水害は、アッタヤン川の増水です。お金や物資を寄付してくれる人もいるし、救援のために来ている人もたくさんいます。
しかし、救助を届けることができていません。なぜかというと、アッタヤン川の向こう岸に行くのが困難だからです。普通レベルの増水ではないので、ボートで渡るのが難しいのです。小さいボートしかないので、向こう岸に支援物資を運ぶのも困難です。川の流れが速いので、誰も向こう岸に行くことができません。しかし、向こう岸の人たちはどうやって食べているのでしょうか?大きなボートがあれば、僕の団体が救援に行くことができます。食べ物を届けることもできます。今は、彼らの運が悪かったと思うしかないのでしょうか?助けたいのに、支援物資を届けたいのに、何もやってあげることができません。彼らのところに行くためのボートがないので、いけないんです。
緊急支援用のボートを1台、欲しくなりました。
元記事(ミャンマー語フォント入ってない人は文字化けします)
街頭募金
今回の土砂災害でも、町には寄付を募るブースが出ています。お金でもいいし、米などの食べ物や、家にある古着を寄付することもできます。3日間くらいブースで寄付を集めたら、お金や物資をトラックいっぱいに詰め込み、被災地に直行します。
ブースの主催者は、地元の慈善団体が多いです。普段は地元の学校に寄付をしたり、献血キャンペーンを行うなどの小規模の活動を行っていますが、今回のような大規模災害が起こったときにも活躍します。
多くの人は、本業として別の仕事を持っていて、奉仕として慈善活動を行っています。本業を放り出して被災地に駆けつける姿は、素晴らしいの一言。ガソリン代などの経費も自腹で負担し、集めた寄付金は全額被災地に寄付する団体が多いようです。
また、町内会や学校などでも寄付活動が行われます。私の息子の通っているインターナショナルスクールでも募金を集めていました。集まったお金は、実際に現地に向かうグループに託されます。
TPAも募金を集めます!→9月15日で募集終了しました。
地球市民の会では、モン州土砂災害の復興支援に取り組みたいと思います。
当会の活動地域ではないため、スタッフを派遣しての活動は難しいのですが、Ko Nyi Nyi Lwin医師(タウンジーのルビー病院所属、普段から熱心に慈善活動を行ってきた人物)の助けを借りて、少しでも必要な物資を届ける支援を行います。
ご寄附いただいたお金は当会の管理費や、Ko Nyi Nyi Lwin医師への謝礼・交通費としては使用せず(医師から辞退あり)、すべて支援物資購入のために使います。
今のところ、米・油・塩など食糧を送ることを考えていますが、集まった金額や現地の状況に応じて、最適なものを寄付します。(→実際に支援したのは、机・椅子、文房具、浄水器、ゴミ捨て場等になりました。報告欄参照)
日本の皆さんからのお力添えは、モンの人たちへのエールとなることでしょう。遠いミャンマーの国での災害ですが、同じ地球市民として、ご支援をお願いします。
支援先:
・チャイマヨータウンシップ、ウーレー村(339世帯、1847人)
・チャイマヨータウンシップ、ガピェーマ村(533世帯、2859人)
ご寄付の使い道:復興支援に必要な物資の購入費用として使います
目標金額:10万円
募集期間:2019年8月~9月15日
ご寄付の方法と振込み先:(募集期間終了のため、削除しました。)
「何かしたい」という気持ちの受け皿に
今回の災害で感じたのは、何か力になりたいと思ったときに、適切な寄付先を見つけることの難しさです。どこに寄付すれば、被災した人のためになるのか、情報収集が非常に難しく時間がかかりました。
日本の方の中にも、この災害に心を痛め、何かしたいと思われている方はいるかと思います。そういうお気持ちの受け皿として、地球市民の会がお役に立てればと思います。
寄付金を渡しました(9月24日追記)
上記のように、9月15日までの約1か月間に寄付を募集しました。ご協力いただいた皆様、ありがとうございました。日本からはお振込みで、ミャンマーでは募金箱にたくさんのご寄付をいただきました。その結果、無事に目標の10万円を達成することができました。日本在住の方よりも、ミャンマー在住の方からのご支援が多かったです。ミャンマー国内には、身近に感じて心を痛めていた方が多かったようです。
9月15日、地球市民の会のタウンジー事務所にて、Ko Nyi Nyi Lwin医師へ寄付金を渡しました。1,880,000ksです。ちょうど鹿児島大学農学部のスタディーツアー中でしたので、ツアー参加の先生と学生さんたちも一緒に写っています。
寄付金の使途報告が来ました(10月10日追記)
2019年9月25日、モーラミャイン地区チャイマヨータウンシップ、ミガティッ村落群レーエインス村小学校に、制服と文房具を寄贈しました。同日、チャイマヨータウンシップ、グワガン村落群パウトー村の学校に、机椅子3セットを寄付しました。ムエハウッ小学校には、ゴミ捨て場と浄水器を寄贈しました。また、9月30日にはチャイマヨー高校に、机椅子を10セット寄贈しました。日本の代理として、ウ・タンマウン氏(注:コ・ニーニールィン医師の仲間)とチャイマヨー青年ボランティアグループが準備をしました。ご支援いただいた皆様、ありがとうございました。
支援物資を選んだ理由
制服・文房具:
水害で水に浸かってダメになってしまったため、生徒が使うための制服と文房具を寄付しました。
机椅子セット:
以前のものは木材で作られていたので、水害で傷んで使えなくなってしまいました。そのため、今回は長持ちするスチール製の机椅子セットを購入しました。
浄水器:
チャイマヨータウンシップの人たちが使っている水には、石灰分がたくさん含まれています。また、水害時に井戸の中に汚水がたくさん入ってしまったため、飲料に適さない状態になってしまっています。子供たちの健康を害することがないよう、支援金で浄水器を購入しました。その後のメンテナンスは、学校管理委員会が責任を持って行います。
ゴミ捨て場:
プラスチックを大量に使用し、ポイ捨てをしているために、水害時にゴミが大量に流れてきました。なので、子供たちがゴミを捨てる習慣を身につけられるように、ゴミ捨て場を設置しました。
会計報告
No |
学校名 |
支援物資 |
数量 |
単価(ks) |
小計(ks) |
備考 |
1 |
チャイマヨー |
机椅子セット |
10 |
90,000 |
900,000 |
|
運搬費 |
1 |
2,500 |
2,500 |
|||
2 |
パウトー |
机椅子セット |
3 |
35,000 |
105,000 |
|
運搬費 |
1 |
5,000 |
5,000 |
|||
3 |
ムエハウッ |
ゴミ捨て場 |
1 |
245,000 |
245,000 |
|
浄水器 |
1 |
145,000 |
145,000 |
|||
運搬費 |
1 |
10,000 |
10,000 |
|||
4 |
レーエインス |
制服 |
157 |
2,300 |
361,100 |
|
文房具 |
1 |
110,000 |
110,000 |
|||
運搬費 |
1 |
15,000 |
15,000 |
|||
|
合計(ks) |
1,898,600 |
|