NGOミャンマー駐在員のハリキリノート

ミャンマーのタウンジーという町で、国際協力をやっています。NGO活動、ミャンマーあれこれ、国際結婚育児ネタなど

NGOで活躍したいなら、まずはブラック企業で修行しろ!

ミンガラーバー

NGOに就職して10年経ちました、鈴木亜香里です。

 

今日は、「将来NGOで働きたい」と考えている大学生の方向けに記事を書こうと思います。

 

私は、大学3,4年生のころは「一般企業に就職なんて考えられない!国際協力の仕事をするためにNGOに就職したい」と漠然と考えていました。

そこで、ミャンマーで実際にNGOで働かれている諸先輩に「どうやったらNGOに入れますか?」と相談に行ったのです。すると、「まずは一般企業で働いてからNGOに入るほうが絶対に良い」とアドバイスを受けました。素直な私は、アドバイス通りに2年間東京の一般企業(というかブラック企業?)で働いてから、今のNGO業界に入っています。

 

NGOで10年働いていますが、新卒で入った一般企業(ブラック)の2年間はとても貴重な経験だったなと、今改めて感じています。最近では、私の時代と違って新卒でNGOに入る道も広がってきたように思えますが、私はやっぱり「一般企業で経験を積んでからNGOに入る」道をお勧めしたい!

ということで、NGOに入りたい大学生の皆さまの参考になれば幸いです。

 

新卒でNGOに入る方法

NGOに就職したいと考えている方はすでにご存知かと思いますが、多くのNGOは新卒を募集していません。募集要項には、2年以上の社会人経験が必要と書いてあることが多いと思います。

 

NGOは限られた人員で仕事をしているため、新人育成に時間やコストをほとんどかけられません。なので、ある程度社会人経験を積んだ人を中途採用で雇うほうが良いと考えます。

しかし、新卒でNGOに入る方法が全くないわけではありません。

 

NGOでボランティア・インターンをする

NGOやNPOは、理念を大事にしています。ビジョンなどとも呼ばれますね。

「こういう社会を作りたい」というビジョンがあり、そのビジョンの実現のためなら、普通の企業が「採算が合わない」と考えて手を出さない分野にも率先して飛び込んでいきます。

 

参考記事

企業とNPOの違いを実感レベルで解説!「NPOは挑戦者である」 - NGOミャンマー駐在員のハリキリノート

 

なので、団体の理念、ビジョンに共感できる人をスタッフとして採用したいと考えています。どんなに事務処理能力が優秀でも、企画力に優れていても、団体の理念と合わないスタッフだと厳しいです・・・。

採用面接で、できるだけその人と団体が合うかを見極めようとしています。が、限られた時間の面接ではわからないことが多いです。

 

ボランティアやインターンとして団体で働いてみて、ある程度の時間を過ごせば、価値観が合うかどうかわかりますよね。ボランティアやインターンで一生懸命働いて成果を出し、価値観も合うのであれば、スタッフを一般募集する前に採用を決めてしまうこともあります。一般募集するよりも早くてコストもかかりませんからね!

ボランティア・インターンからスタッフになるという例は、たぶんかなり多いと思います。

 

ボランティア・インターンをする側にとっても、その団体が自分と合うかどうか、時間をかけてみることができますよね。もし、興味がある団体がある方は、ぜひボランティアやインターンをしてみてください。

団体でインターンを公募していなくても、相談してみれば受け入れてもらえる場合もあります。団体に負担がかからないように、インターン用の助成金などもありますので、挑戦してみると良いでしょう。学生時代の時間のあるうちがオススメです。

 

私も学生時代はボランティアやインターンをさせていただきました。

学生時代のボランティアで学んだこと - NGOミャンマー駐在員のハリキリノート

 

青年海外協力隊に入る

青年海外協力隊は、新卒でも入れます。そこで2年間の現地経験を積んで、それからNGOに入るというコースです。

私の所属する地球市民の会でも、協力隊を経てから入ったスタッフが数人います。

 

ただ、これは言うのは簡単ですが、けっこう大変な気もします。新卒で協力隊に合格するのは、かなり難しいのではないかと思います。特に専門分野がない人は、「コミュニティー開発」などの倍率が高い職種を受けるしかありませんので・・・。

新卒で協力隊に合格する人は、大学時代からJICAが主催する研修会に出席したり、応募したい職種に合わせた経験をしたり、NGOでインターンをしたりと、コツコツと頑張っておられるようです。

 

新時代の広報力を身につける(SNSやYou Tube等)

私が学生だった10年前だとありえない方法なのですが、ある分野で秀でていれば、新卒でもすぐNGOに採用される可能性はありそうです。

たとえば、最近はSNSやYou Tubeなどで広報をし、寄付者を集めることがNGOの世界でも大切になってきています。SNSやYou Tubeなどは、学生でもできます。むしろ学生のほうが新しいテクノロジーに適応する速度は速い。学生のうちにYou Tubeなどで圧倒的な効果を出せば、広報担当としてNGOに就職する道もありうるのではないかと思います。(でも、実際にそういう例は私はまだ知りません。想像です)

 

ただ、そういう場合は大きなNGOに限られるでしょう。小さい団体の場合はスタッフの人数が限られるので、何から何まで自分でやらなければなりません。広報専門のスタッフを雇う余裕はないです。(私だって、現地駐在員だけど広報もやっていますからね!)

 

「You Tube得意!」という方は、まずはどこか好きな団体の広報インターンやファンドレイジングインターンとして入り、圧倒的な成果を出してみてはどうでしょうか。インターンするのは、小さ目の団体でいいです。その成果を引っ提げて、広報専門スタッフやファンドレイジング専門スタッフを置ける大きい団体にアタックしてください。(ただし、前例は知りません)

 

新卒でNGOに入るのは、オススメしない

と、いろいろと新卒でNGOに入る方法を書きました。いずれの方法も、まずは学生時代のうちにNGOでインターン等で働くことが大事です。それもせずにNGOに入りたいというのは、口だけだということですので、諦めたほうが良いでしょう。

 

でも、私の考えは、「新卒でまずは一般企業に就職を!」です。それも、できれば「ブラック企業」に就職することをお勧めしたい。「ブラック企業に入社したい!」なんて人は、今の時代少なそうですが・・・それでもあえてオススメしたいです。

 

ブラック企業をお勧めする理由

私は、最初は新卒ですぐにNGOに入りたいと考えていましたが、NGO業界の先輩のアドバイスを受け、一般企業で先に働くことを選択しました。仕事ができない、成果が出せないままNGOに就職するのは、NGOにとっても迷惑だし、支援対象となる人たちにも迷惑だなぁと考えたからです。

なので、「圧倒的に成長し、能力を身につけられる企業」で働こうと考えました。その軸で選んだのは、経営コンサルティング会社。中小企業に対して、経営コンサルをする会社でした。

 

コンサルタントというカッコいいイメージとは違い、とっても泥臭い企業でした。朝9時から終電まで働き、土日も仕事が終わらないのでずーっと働いていました。もちろん、残業代なんてものはありません。過労死ラインを余裕で超える残業を毎日やっていました。新卒にしては高めの給与をもらっていましたが、時給に換算すると、ファーストフードやコンビニのバイトよりも余裕で低かったです。(余談ですが、新卒時の給料をNGOに入ってからはまだ超えられてないです・・・笑)

 

その時代には「ブラック企業」という言葉はまだありませんでしたが、今で言えば完全にブラック企業でしょう。「お前ら新人は何も成果を出せてない給料泥棒なんだから、必死で勉強しろ!」と、よく先輩から言われたものです(涙)。1週間毎日徹夜しても終わらない量の仕事があり、パニックになって、泣いて過呼吸になったこともあったなぁ・・・。1年目なんて、よく泣いてました。

 

と、これだけ書くと最悪な会社のように見えますが、仕事にはやりがいがめちゃくちゃありました。自分が成長しているという実感も持てたし、何よりも仕事をバリバリできるものすごい先輩がたくさんいて、「いつかはあんな先輩みたいになりたい」と憧れたものでした。

 

一般企業で働くうえのビジネスマナー、仕事を効率良く進める方法、圧倒的な成果を出す方法、研修スキルなどなど、2年間で学べたものは本当にたくさんありました。本当は5年くらい勤めてからNGOに行くつもりだったのですが、たまたま練習のために受けてみた今の団体に拾ってもらったので転職しました。もうちょっと企業で経験積んでから転職しても良かったかな・・・と、今でも少し思います。

 

NGOに入っても、その後に成果を出せるかが大事

上述のように、新卒でNGOに入る方法はいくつかあります。でも、それだとその後がもったいないと思うんです。

私は、新卒で「ブラック企業」に入り、そこで学んだたくさんのことが今の仕事につながっています。新卒でNGOに入ることはできたとしても、その後成果を出せるようになれるか、成長速度はどうかなどを考えると・・・アヤシイ。仕事のできないNGO職員は、団体にとっても、世界にとっても損害ですから。

 

また、前職の憧れの先輩方と今もつながっていて、教えてもらえることはたくさんあるし、団体を支援してくださっている先輩もたくさんいます。企業に勤めて、たった2年間でしたが、明らかに世界が広がったと感じています。

 

特に、海外駐在員になると孤独です。学ばせてもらえる先輩どころか、日本人があんまり周りにいない環境です。NGOスタッフ向けの能力向上研修などにもなかなか参加できないし・・・。(今は、SNSなどでつながれるので、ネット環境ゼロだった昔に比べたらずいぶん良くなりましたが)

 

なので、NGOに入った後のことを考えて、学生の皆さんには「ブラック企業」で働くことをあえて勧めたい。もちろん、成長できない企業に入るのはダメです。期間限定で、めちゃくちゃ大変だけど成長できる企業に入ってね、ということです。ブラック企業にずーっといると身体壊しますからね。

村の人と座って会話している写真

一度ブラック企業を経験しておくと、その後の仕事がめっちゃ楽に感じるよ

 

駐在員に向いている人とは

私の所属する地球市民の会では、新たにミャンマーの北チンで事業を開始するために、北チンの駐在員を募集していました(現在は募集終了してます)

 

ミャンマーの中でも最貧地域と言われるチン州に駐在するので、サバイバル力が必要です。また、少数民族リーダーの癖の強いおっちゃんたちと渡り合っていかなければならないので、舐められない迫力が求められる仕事です。

 

駐在員募集のときに書いた記事がこちらです。NGOの駐在員として働きたいという方はぜひ読んでください。

NGO駐在員が考えた「NGO駐在員に求められる3つの資質」 - NGOミャンマー駐在員のハリキリノート

  

また、インターンやボランティアをしたいという方、佐賀の本部に問い合わせてみてください。受け身の姿勢ではなく、積極的にいろいろできる方を求めています!

 

NGOでキャリアを積んでいきたいと考えている方には、こちらの記事もおすすめ

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