NGOミャンマー駐在員のハリキリノート

ミャンマーのタウンジーという町で、国際協力をやっています。NGO活動、ミャンマーあれこれ、国際結婚育児ネタなど

有償?無償?交通費は?ボランティアにかかる費用を誰が負担すべきか考えてみた

ミンガラーバー(ミャンマー語でこんにちは)。

国際協力NGOでミャンマー駐在やってます、鈴木亜香里です。

 

ちょっと前の話ですが、ボランティア受け入れに関して、モヤモヤすることがありました。そこから、ボランティアの自腹問題について考察しました。無償ボランティア、有償ボランティア、交通費くらいは出すべきでは?などとモヤモヤしている方、一緒に考えてみましょう。

 

ボランティアツアー受け入れの話

ある団体との出会い

私が所属する地球市民の会では、ミャンマーの活動の様子を見て学んでもらいたいという想いで、スタディーツアーを実施しています。スタディーツアーは、多くの団体が実施されていますよね。

 

先日、知人からの紹介で、スタディーツアーの受け入れ先を探している団体と知り合いました。その団体は、不登校や引きこもりの学生を対象に途上国でボランティアをするツアーを実施し、学生が一歩を踏み出す支援をしているそうです。いつもボランティアツアーを行っている国が政情不安で行けなくなってしまったため、変わりの受け入れ先を探しているとのことでした。

 

私の所属する地球市民の会も、スタツアには力を入れていく方針です。ツアーの参加者はその団体が集めて、受け入れを私たちがやる。こちらはミャンマーの活動を知ってもらえるし、その団体は日本の学生たちの支援になるし、とても良いコラボレーションになりそうだと思いました。

 

ボランティアにやってもらいたいこと

もし、その団体のスタディーツアーが来るなら、当会の農業センターのペンキ塗りをしてもらってはどうかと私は考えていました。その団体は、過去にペンキ塗りをしたり、道路や水タンクの建設をボランティアとして手伝ったりしているようでしたし、ちょうどペンキ塗りをしたいと考えているところだったからです。

 

農業センターは建設後、すでに20年目。ペンキ塗りだけでも、30万円くらいの費用がかかります。カウンターパートであるミャンマー政府国境省からも「見栄えが悪いから塗り替えろ」とよく言われるのですが、なかなか施設修繕費が出る助成金もないし、見栄えが悪くても使えるから、後回しになっていました。

もし、ボランティアツアーが来てくれるなら、そのツアーにペンキを買ってもらおう。当会スタッフとボランティア学生さんでワイワイやりながらペンキ塗りをすれば、とても楽しい企画になりそうだ!と。

 

でも・・・、交渉はうまくいきませんでした。

というのも、その団体が「日本の学生がボランティア活動をするので、そのかわりにボランティア中の食事や宿を提供してほしい」と言ってきたんです。「できれば」と言われましたけど、ねぇ・・・無理です。こちらは、ペンキ代もお願いしたいと考えていましたから、全くの交渉決裂でした。

 

受け入れできなかった理由

ボランティアは戦力外

日本から来るボランティアの学生さん。言ったら悪いですが、全く戦力にはなりません。ペンキ塗りは初めてでしょう。だったら、ミャンマー人を呼んだほうが安いし、早いし、仕上がりがキレイ。そして、通訳もいらないし、いろいろ説明する手間もかからない。仕事の質を見れば、日本からボランティアを呼んでくる必要は、全くありません。ペンキ塗りだけでなく、道路建設や水タンク建設も危ないし、戦力外。農業もそうです。

 

受け入れの手間がかかる

スタディーツアーの受け入れは、とても大変です。行程を考え、すべての交通手段や宿泊、アクティビティーの手配をし、全行程を通訳しながらアテンドします。ミャンマーというお国柄、政府への届け出(めちゃ大変)も必要です。

 

受け入れるのは、私ではない

そして、受け入れをするのは私ではなく、農業センターです。もしくは村に受け入れを頼む可能性もあるかもしれません。農業センターは地球市民の会のセンターですが、独立採算制をとって自立運営に向けて努力しています。村だって、生活が厳しくて困っているんです。

そういう受け入れ先に「ペンキは自腹。ボランティアは来るけど、その食事と宿泊場所は無料で提供して」って・・・、言えませんよね。ちなみに、ミャンマーでは、民家への宿泊は禁止です。許可とるのも非常に困難。センターには申請すれば泊まれますが、宿泊用の寝具の準備などが必要です。

 

ちなみに、いつもセンターでは、一人につき、食費は1食5,000ks(約500円)、宿泊は1泊10,000ks(約1,000円)をもらうようにしています。村と交流して食事をいただいた場合も、一人あたり5,000ksです。村は「交流のおもてなしだから、お金はいらない」と言ってくれますが、「村のために基金にしてください」などと言って、絶対に支払うようにしています。それが、お世話になる側の最低限のマナーだと、私は考えているのですが。

 

私の考え、間違っていますか?

結局、交渉はうまくいかず、ツアー受け入れの話はなくなったのでもう良いのですが、けっこうモヤモヤしてしまいました。ボランティアに食事も出せない私が、なんだか心の狭い人間みたいに感じます。普段は「ボランティアさんの参加が大事!」とか言ってるくせに、実際はボランティアさんを金づるとか経費削減の手段としか見てないのかな・・・って、落ち込んだりしました。

 

不登校や引きこもりの参加者のために、費用をなるべく安く抑えたいという気持ちは理解できるんです。ミャンマーはホテル代や交通費が高いから、他のアジアに行くよりも費用が高くなってしまいます。また、その団体のツアーは、サポートスタッフが日本から同行してくるそうなので、そのスタッフの経費も考えると、経費削減は必要なことだと十分理解できます。

 

でも、それを受け入れ側に求めますか?途上国の農家に求めますか?っていう話ですよ。私やスタッフの人件費だって、「ミャンマーの農家のために、ミャンマーの教育のために」と言って寄付してもらったものです。その大事な寄付を、勝手に日本のボランティア学生のために使うわけには、やっぱりいかないんですよね。寄付の目的が違うから。

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スタディーツアー受け入れ中の私

 

誰が費用を負担するか

もやもやしたので、ボランティアの費用について、他の団体はどうしているのか、調べてみました。

 

ボラ自腹型

途上国に学生が行って、実際に汗を流しながらボランティアをする。有名なのは、ハビタット・フォー・ヒューマニティー・ジャパンです。大学生でよく「途上国で家を建てる手伝いをした」と言っているのを聞きますが、こういうところに参加しているのではないかと思います。

habitatjp.org

ウェブサイトの参加費のところを見るとわかるのですが、ツアーの旅費はもちろん自己負担で、そのうえに「ドネーション」が必要になるみたいです。国や参加者の属性によって金額は異なるみたいですが、最低金額は5万円。この5万円で、家を建てる資材を買ったり、管理費として使ったりしているのではないかと思います。

 

ボランティアする側が、活動の費用を負担する例です。これがかなり一般的な形ではないかと思います。ボランティアの労力+ボランティアにかかる経費+支援活動にかかる経費を、ボランティアが負担します。

 

スポンサー型

ボラ自腹型だと、ボランティアにかなりの負担がかかってしまいます。それだけの時間とお金をかけても、ボランティアには素晴らしい価値があると私は思いますが、「お金がない人はボランティアできない」というのも問題です。ボランティア経験を得る機会は、お金に関係なく多くの人に開かれるべきかと思います。

 

そういう場合に、スポンサー型のボランティア支援があります。例えば、青年海外協力隊。ボランティアですが、活動に関する費用はJICAに申請できますし、ボランティア期間の生活費や、国内積立金も出ます。これは、協力隊を受け入れている国が費用負担をするのではなく、日本が費用負担をしています(だから、税金の無駄遣いとか言われたりする・・・)。つまり、日本国が協力隊員のスポンサーなんですね。

 

他にも、トビタテ留学JAPANというのもあります。海外に留学する学生を増やすために、留学資金を提供する企画で、文部科学省やトビタテに賛同している企業や個人が資金を出します。留学と言っても、学校に行くだけではなく、NGOでのインターンも認められています。過去、トビタテの資金を受給して、当会のインターンに来てくれた学生さんもいました。

 

これらは、企画に賛同した第三者が、スポンサーとしてボランティアの費用を負担してくれています。ボランティアの成長のため、人材育成のためという側面が大きいと思います。スポンサーに費用を負担してもらったボランティアには、より一層の成長をして社会に貢献することが求められますね。

 

受け手自腹型??

こう考えてみると、支援の受け手が負担するボランティアって無いと思うんですが、どうでしょう?思いつきません。支援の受け手が費用を負担する時点で、もうボランティアとは言えませんね。

費用負担するなら、ボランティアではなくて、それなりの技術や知識を持った専門家を呼びます。専門家派遣というのは、当会でもよくあります。植林の専門家や大学の先生などを、当会が費用を負担して来てもらい、指導してもらっています。誰でも来てもらえるわけではなく、その費用を払う価値がある方をこちらが選びます。

 

まとめ

ボランティアは、プロと違ってお金をもらえません。でも、普通なら参加できないことや行けない場所にも、自分の意思で参加できます。プロは、選ばれないと参加できないけど、ボランティアは自分で選んで参加できるんですね。だから、ボランティア(語源には「自発的」という意味がある)と呼ぶのかもしれません

 

「ボランティアさせていただく」という言葉がありますが、ボランティアは、お金や時間を使って、参加します。お金や時間はかかるけど、それだけの学びや経験が得られます。これは、ボランティアをやったことがある人にしかわからないことかもしれませんが。

お金がないという場合も大丈夫。上記のスポンサー型のように、スポンサーを探せばいいんです。そのかわり、スポンサーの期待にも応える責任が出てきますけどね。あなたがもっともっと成長することは確実です。

 

私はNPO団体のスタッフです。ボランティアさんに助けていただいている立場で「ボランティアはさせていただくもの」などと声高に言うのも、なんかねぇ・・・とも思います。が、私自身も学生時代はボランティアをしていて、たくさんの経験を積んで、今は恩返しをさせていただいている身でもあります。「ボランティア経験者としての発言」として、考えていただけると嬉しいです。

 

私がボランティアで学んだことは、こちらの記事から。

www.ngomyanmar.com

 

海外青年協力隊について詳しく知りたい方は、こちらのブログから。国際協力ブロガーサロンで、ともに切磋琢磨している遠藤さんのブログ。協力隊の中の人だからこそ書ける、詳しい情報がいっぱいです。

www.satoruendo.com