ミンガラーバー(ミャンマー語でこんにちは)
NGO駐在員として、国際協力を仕事にしている鈴木亜香里です。
ちょっと刺激的なタイトルにしていてごめんなさい。今日は、「絶対的貧困」と「相対的貧困」について、考えたことを書きます。
- 日本の貧困よりも、世界の貧困を優先すべき(?)
- 「絶対的貧困」と「相対的貧困」の定義
- 餓死はダメで、自殺ならいいのか?
- 相対的貧困のほうが、幸せ度は低いかもしれない
- まとめ:比べることはできない
- 仲間になりませんか?
日本の貧困よりも、世界の貧困を優先すべき(?)
以前、こういう記事を書きました。
「世界の問題よりも、日本の問題を優先しろ!」と言ってくる人に対して、どう切り返すかという話です。(まだ読んでない人はぜひ読んでください。たくさん反応をいただいた、なかなかよく書けた記事だと自分で思ってます)
上記の記事の中には書かなかったのですが、こういう回答の仕方もあります。
世界の中には、絶対的貧困の中にいて、生きていくのに最低限必要な衣食住がない人もいる。
日本の貧困は相対的貧困なので、衣食住に困って飢え死にしてしまうほどではない。
だから、世界の貧困を優先すべきだ。
この回答について、どう思いますか?
「絶対的貧困」と「相対的貧困」の定義
ちょっと用語を確認しておきましょう。
絶対的貧困は、人間が生きるのに必要な最低限の衣食住を満たせていない人を言います。世界銀行の定義で言えば、1日1.9ドル以下で生活している人がこちらに含まれます。
相対的貧困は、ある国・地域の平均的な生活レベルの半分以下の人たちのことを言います。日本で言えば、だいたい月10万円くらいで生活している人たちです。
1日1.9ドル(月でいえば57ドル、6000円ちょい)の人と、月10万円くらいの人を単純に比べると、「1日1.9ドルの人のほうが大変!そっちを優先して支援すべき!!」という話になります。
あなたもそう思いますか?
餓死はダメで、自殺ならいいのか?
こういう議論をしていたときに、ある方が「じゃあ、なんで餓死したらいけないんですか?それをしっかり考えていますか?」と言いました。
絶対的貧困の中にいるアフリカの子どもは、食べ物がなくて餓死する人もいる。
貧困的貧困の中にいる日本の子どもは、希望がなくて自殺する人もいる。
この両者の違いは何?どっちがより大変なの?比べられること?
「貧困とは、経済的に貧乏なことと、孤独なことだ」と聞きました。
食べ物がないのも、希望が持てなくなるのも、その貧困の中にいる人にとっては大変なことです。決して、人と比べられるようなものではありません。
相対的貧困のほうが、幸せ度は低いかもしれない
金額で見れば、月6,000円と月100,000円。絶対的貧困のほうが大変に見えます。
でも、その人の「幸せ度」はどうでしょう?
よく言われるのは、途上国の子どもたちのほうが、日本の子どもたちよりもキラキラしているという話。途上国の子どもは、貧しくても幸せを感じている例が多いように感じます。周りも同じような感じだからなのか。
一方、日本の相対的貧困の中にいる人の幸せ度は、かなり低くなっているのではないかと思います。周りは豊かなのに、なんで自分だけが・・・という気持ち。
まとめ:比べることはできない
絶対的貧困の中にいる人と、相対的貧困の中にいる人を比べることはできません。その中にいる人にとっては、本当に大変な問題なんだから。
なので、私は「世界の問題よりも、日本の問題を優先しろ!」と言ってくる人に対して、「絶対的貧困のほうが大変だから優先すべきだ」という回答はしません。
そこに困っている人がいるんだったら、どっちが優先などと言っていないで、何か自分にできることをやるのが大切だと、私は思います。一人で何もかもはできませんが、分野は違っても、同じ志を持って頑張る仲間が増えればよいなと思っています。
仲間になりませんか?
(ちょっと宣伝っぽくなりますが・・・)私は「国際協力系ブロガーズサロン」というオンラインサロンに入っています。
フリーランス国際協力師の原貫太さんが主催されているサロンで、国際協力の仕事をしている人や、目指している人たちが、ブログでの発信力を高めていこうという目的でやっているサロンです。FB上でいろいろコメントをもらえたり、2週間に一回、スカイプで勉強会みたいなことをやっています。
今回書いたことも、そのスカイプ勉強会で話して感じた事がベースになっています。それぞれの国や分野で、世界を良くしようと行動しているサロンメンバーとの会話は本当に勉強になります。国際協力を仕事にしている方、仕事にしていきたい方にオススメです。
最後に、素敵な言葉を共有します。
大学生のときに読んだロバート・チェンバースの『参加型開発と国際協力 変わるのはわたしたち』という本の日本語版前書きより。(国際協力に関わる人の必読本です)
健康のための注意!
ご自身のリスクでお読みください
この本を読まれた方の
経歴がどうなろうとも
著者は一切の責任を負いません
この本、最近読み直し中なのですが、この文章を読んでちょっと泣けた。チェンバースさんに、こちらの世界に呼ばれて、ここまで来てしまったなぁ・・・と感慨深くて。
このブログにも、この注意書きを掲げたいと思います。
皆さま、これからも覚悟して読んでくださいね。