NGOミャンマー駐在員のハリキリノート

ミャンマーのタウンジーという町で、国際協力をやっています。NGO活動、ミャンマーあれこれ、国際結婚育児ネタなど

【READYFOR?CAMPFIRE?Syncable?】クラウドファンディングを始める時に知っておきたいプラットフォームの選び方(2022年版)

ミンガラーバー。

クラウドファンディング大好き、鈴木亜香里です。

 

自分でクラファンをやったり、クラファンアドバイザーを何件かやらせてもらっています。以前書いたクラファンの記事は、大変ご好評いただいています。

クラファン成功への道!達成のためにやるべきこと完全解説 - NGOミャンマー駐在員のハリキリノート

 

そして私は、寄付オタクでもあります。

「12月は寄付月間」ということで、2021年の12月は毎日寄付するという活動をやっていました。

1か月間、毎日寄付をし続けてわかったこと【寄付月間賛同企画】 - NGOミャンマー駐在員のハリキリノート

 

毎日寄付をする中で、READYFORやCAMPFIREなどのプラットフォームをよく見て寄付先を探していました。そうすると、プラットフォームの設計思想がだんだんと透けて見えるようになってきたのです。

 

この記事では、プラットフォームの設計思想を読み解き、オススメのプラットフォームの選び方をお伝えします。

 

こんな方にお勧め

  • クラファンを始めたいけど、プラットフォームをどこにしたらいいかわからない
  • 手数料しか比較すべき点を思いつかない
  • 社会貢献的なプロジェクトをしたい

 

プラットフォームは長く付き合うもの

プラットフォームは、そのたびに変えて大丈夫だと思っていませんか?実は、一度使い始めたプラットフォームとは、その後も長いお付き合いとなります。なので、始めが大事!その理由を解説します。

 

ログインハードル

クラファンで支援しようと思ったら、新規登録をして、ログインをしないといけませんよね?せっかく「支援しよう!」と思っても、このログインが面倒になってしまってやめてしまう人はたくさんいるはずです。私も経験がありますし、あなたも経験があるでしょう。

 

いわゆる、「ログインハードル」です。

この「ログインハードル」はかなり厄介です。

 

自分のプロジェクトに支援してくれそうな人が集まっているプラットフォームがある場合は、そのプラットフォームを使いましょう

 

例えば、ミャンマー支援の場合。READYFORやCAMPFIREで多くのミャンマー関連プロジェクトが実施されているので、そのどちらかを使うのがオススメです。

 

一度使ったプラットフォームとは長く付き合え

厄介な「ログインハードル」ですが、一度見方につけてしまえば、強力な味方になります。各プラットフォームに個人情報やクレジットカード情報を登録しておけば、2回目からは数回のクリックのみで支援ができるようになります。

 

クラウドファンディングは、1回で終わるものではありません。1回目の挑戦が無事に終わったあとも、2回目、3回目と挑戦したいことが出てくるかもしれません。そのときに一番最初に支援してくださる方は、すでに支援経験がある方です。

 

すでに1回ログインハードルを越えて支援してくださった方が2回目以降も支援しやすいよう、できるだけ同じプラットフォームを使い続けることが大切になります。

 

また、最近READYFORで継続支援も集められる機能ができました。CAMPFIREでもSyncableでも、マンスリーファンディングはありますね。単発のクラファンで集めた支援者を、継続支援者に変えていくときにも、同じプラットフォームを使うのが一番良いようにできています。

 

「1回目だし、とりあえず手数料が安いところでいいか!」と選んでしまってはいけません。1回使ったら、よっぽどのことがない限り変えられないと思って、しっかり選択するようにしましょう。

 

3つのプラットフォームを比較してみた

ここで、候補によくあがる3つのプラットフォームの比較表を載せておきます。

社会貢献系のプロジェクトでは、READYFOR、CAMPFIRE(GoodMorning)、Syncableが一般的かと思いますので、この3つを取り上げます。

 

個人の場合はSyncableは使えませんが、NPO団体や任意団体であればSyncableが使えます。

 

GoodMorningは、CAMPFIREの姉妹サイトで、社会貢献系のプロジェクトが利用することができます。

 

  READYFOR CAMPFIRE
(GoodMorning)
Syncable
利用できる人・団体 誰でも 誰でも NPO法人、任意団体など、団体登録が必要
手数料 シンプルプラン12%
フルサポートプラン17%
社会貢献系(GoodMorning)は9%
一般は17%
11%
その他手数料 決済時に支援者がシステム手数料220円を別途とられる 決済手数料肩代わりシステムで5.5%を支援者が負担できる(選択制)
All-or-NotihngかAll-inか 基本はAll-or-Notihngのみ。NPO法人やフルサポートプランならAll-in利用可能。 どちらも利用可能 All-inのみ
キャンペーン コロナ、災害時などに手数料割引あり ポイントサイト
割引クーポン
紹介による手数料割引
コロナ、災害時などに手数料割引あり
リターン設計の特徴   数量限定にすることが多い リターンなしでもできる。寄付者が寄付額を調整できる。
その他の特徴   上乗せ支援ができる バースデードネーションに強い

 

手数料だけで見ると、このような順位になります。

  1. GoodMorning 9%
  2. Syncable 11%
  3. READYFOR 12%

 

また、All-inをやりたいと考えている人にとっては、READYFORは審査が厳しいので難しく、GoodMorningかSyncableが候補にあがってくるでしょう。

 

これを見ると、「GoodMorningが手数料も安いし、All-inもできるし、一番良いじゃん!!」と思うかもしれません。

 

しかし、私はそうは思っていません。

以下、理由を述べます。

 

READYFORはなぜAll-In型を嫌がるのか

READYFORのサイトより引用してきた、All In型を使える条件がこちらです。

All In型は、以下の団体においてご利用可能となっております。

・税制上の寄附金控除の適用対象である団体(国、自治体、大学、学校法人、認定NPO法人、公益社団法人、公益財団法人、社会福祉法人など)

・上場企業

 上記に加え、目標金額を達成しなかった場合でもプロジェクトの実行やリターンの提供に支障が生じないと認められることが、All In型のご利用条件となります。

All or Nothing型・All In型とは - READYFOR ヘルプ

 

ご覧のとおり、かなり条件が厳しく、個人ではなかなかAll-In型を利用することができないようになっています。

 

これは、READYFOR側が「プロジェクト実行者が、お金を集めたのにも関わらず、約束した内容を実施しない」というリスクを重く捉えているからだと思います。お金を出した支援者を保護する意味で、審査を厳しくしているのでしょう。

 

ですので、支援者目線でREADYFORのAll-In型プロジェクトを見ると、「READYFORの厳しい審査を無事通ったプロジェクトだから信頼できそう」と思います。

 

一方、CAMPFIRE(GoodMorning)の場合は、支援者保護の観点が弱いと感じます。

CAMPFIREで決済する前に、このような注意文が表示されます。

CAMPFIREはプロジェクトオーナーの能力やプロジェクトの実行を保証するものではありません。プロジェクトの実行やリターンの発送(履行)などは、全てプロジェクトオーナーの責任のもと行われます。

ここになんだか不安を感じてしまいます。

 

Syncableの場合は、個々のプロジェクトの審査はありませんが、団体登録の際に団体が審査を受けていますので、安心感があります。

 

All-or-Notihngの威力

また、単純にAll-or-Nothing型のほうが盛り上がりやすく、支援金額も上がりやすいという特徴があります。目標達成できない場合はゼロになってしまうため、支援者のほうが「なんとか達成させたい!!」と本気になって応援してくれるようになります。

 

All-In型ですと、最後のラストスパートに力が入らない傾向が高いです。「ぜんぜん集まらないと思ってたので、これだけでも支援が入ったら満足です!」という実行者の姿勢が周りにも伝わります。

 

クラファンは盛り上がってナンボです。達成できるかできないかわからないギリギリの状態で達成すると、支援者満足もめちゃくちゃ上がります。

 

大変ではありますが、できることならAll-or-Nothingで挑戦してほしいです。

 

消費者が欲しいのか?応援者が欲しいのか?

はい、ここからが一番書きたかった本題です。

 

あなたが欲しいのは、あなたの商品を買ってくれる消費者ですか?それとも、あなた自身を応援してくれる仲間でしょうか?

 

これが一番大事な問いになると思います。

 

消費者心を刺激するCAMPFIRE

お得で支援者を呼び込む

CAMPFIREでは、たくさんの支援者を呼び込むために様々な施策を打っているようです。支援者が多いほうが「このプラットフォームを使うと、新しい人からの支援が集まる」と利用者が増えるからですね。

 

クラファンで支援してくれる人のほとんどは既知の人で、新規で寄付してくれる人はなかなかいないと言われています。なので、「どこのプラットフォームを使っても、結局支援してくれるのは私の周りの人しかいない」と実行者が考えてしまい、手数料が安いところを使おうとする流れになります。

 

CAMPFIREはそれを避けようと

  • ポイントサイトでのポイント還元
  • CAMPFIREでの支援経験者に対する割引クーポン配布

などを行っているのだと思います。

 

たとえば、モッピーなどのポイントサイトからCAMPFIREに行くと、数パーセントのポイントがもらえます。ポイント好きの心が刺激されますね。(12月はモッピー経由でCAMPFIREに寄付をし、2800ポイント貯まりました。1ポイント=1円)

賢く貯めるならモッピー。1P=1円で交換先も多数!

 

こんなクーポンもメールで届きました。

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5%割引クーポン

ポイントがもらえたり、割引クーポンがもらえるのはすごく嬉しいんですけど、支援者の心の「消費者」の部分が刺激される気がします。「お得が大好き!」「安く手に入れたい!!」という気持ちがビシビシ刺激されるのです。

 

こんなお得大好き消費者マインドでサイトに入ると、リターンを選ぶときの目線が「どのリターンが一番お得かな?」になると思いませんか?(私は、なります)

 

リターンの設定が支援者を煽る

CAMPFIREのプロジェクトのリターン設計を見てみてください。やたらとリターンの数を限定しているのを見かけます。「限定10個」とかならまだしも、「限定3個」「限定1個」のリターンをたくさん見かけます。しかも、そのリターンが売切れたら、また「限定〇個」とか言って復活していることもあります。

 

(ちなみに、READYFORは数量限定のリターンの数を後から増やしたり、売切れたからと言って同じものを追加するのはできない仕様になっています。)

 

「早く買わなきゃ、お得なリターンが売り切れてしまう!!」と、またもや消費者性を刺激されてしまう設計です。CAMPFIRE(GoodMorning)では全体的にこのようなリターンが見られるので、キュレーターがそういうアドバイスをしているのだと思います。

 

優しい気持ちを育むSyncable

さて、Syncableです。一般的なクラファンプラットフォーム比較記事には、名前すら出ないことも多い地味なプラットフォームです。でも、私はすごく好きです。

 

手数料が安く、小さい団体に寄り添った設計(任意団体でも利用できるのです!)。そして、バースデードネーションの機能があり、一般の支援者さんが団体のために寄付を集めることができるのです。これマジすごい!

 

Syncableについて記事を書いたこともあります。だいぶ情報古いですが。

【2020年版】ソーシャル系団体におすすめのクラファン用プラットフォーム - NGOミャンマー駐在員のハリキリノート

 

手数料肩代わり機能

Syncableの思想は「手数料肩代わり機能」に現れています。クレジットカードの決済手数料(5%)と税の合計5.5%を、支援者が負担するかどうかを、支援者が選択できるのです。

 

この機能は「せっかくなら、多くの金額を支援に使ってほしい」という支援者の優しい気持ちを育むようです。実際に、寄付者の6割が、この手数料肩代わり機能を利用したとプレスリリースが出ていました。

 

助成団体化してきたREADYFOR

READYFORは、コロナや災害のときの活動が素晴らしいです。個々のNPOや医療従事者などが寄付集めに時間をとられることなく活動に集中できるよう、READYFORが「コロナ寄付」「災害寄付」などと窓口を作って寄付を集めました。それを、各団体に配るという助成団体的な活動もしています。

 

また、遺贈寄付をしたい人にふさわしい団体を紹介するなどの事業もやられているそうです。

 

クラウドファンディングだけでなく、社会問題の解決、社会貢献活動の推進という大きな目標をもって取り組まれているプラットフォームです。なので、READYFORに集まる支援者も、社会貢献的マインドを持った方が多いと考えられます。

 

READYFORには、リピート支援者が多いです。100回以上は普通にいますし、中には900回以上寄付をしている人もいると聞きました!私自身、寄付先を探すときはREADYFORが一番安心して探せる印象がありました。

 

応援してくれる仲間が欲しいなら、READYFORかSyncable

「消費者を見つけたい、テストマーケティングをしたい」ということなら、CAMPFIREが良いと思います。(または、テストマーケティングに特化したマクアケが良いと思います。)

 

が、この記事では、社会貢献系のプロジェクトをしたい人を対象にしています。私たちは、消費者的なお得を好む人を集めたいのではなく、プロジェクトに共感して応援してくれる仲間を集めたかったはずです。

 

だったら、社会貢献系に強いREADYFORや、小さな団体を支援し、優しい心を育むSyncableが良いと思いませんか?

 

なんだかCAMPFIREをディスってしまったような記事になりましたが、これは、2022年の段階でCAMPFIRE(GoodMorning)を選択する人が周りに多いなという印象から、カウンターとして書いていますので、その点ご了承を。

 

あと、READYFORとSyncableは自分が実行者としても支援者としても使ったことがあるのですが、CAMPFIREは支援者としてしか使ったことがありません。実行者の経験はありませんので、もし使ったらまた良い点を発見して印象が変わるかもしれません。

 

とにかく言いたかったのは、「消費者的な性格を刺激する施策ばかりだけど、CAMPFIREは大丈夫?」という点でした。ご参考になれば幸いです。