ミンガラーバー。
地球市民の会ミャンマー駐在員の鈴木亜香里です。
実は今、クラウドファンディングに挑戦中です!
寄付つきミャンマーコーヒーをクラファンサイトで販売しています。経費を除いた利益全額は、ミャンマーの団体に送金し、農村支援に役立ててもらう計画です。
詳細はクラファンのページを見ていただいたら良いと思っていますが、このクラファンの背景がものすごく面白い。NPOのスタッフが主催するクラウドファンディングではなく、NPOの支援者さんが立ち上げたクラウドファンディングなんです。サラッと言うとわかりづらいかもしれませんが、すごいことです。NPO業界の支援者マネジメントのモデルケースにもなると思っています。
この記事では、クラファンの背景について、詳しく解説していきたいと思います。
NPO業界のオンラインサロンブーム
2020年ごろから、NPO業界でもオンラインサロンが流行り始めています。支援者さんを対象に、Facebookグループ等のクローズドな環境でコミュニケーションをとる団体が増えてきました。
支援者を囲い込め!
NPO業界の中の人の関心ごとは、「いかに支援者さんを囲い込むか」ということです。新規の支援者を獲得していくことも大事なのですが、1回寄付した方をリピーター寄付やマンスリー継続寄付につなげていくほうがコストが低くて良いとされています。
ドナーピラミッドという考え方がありますね。こちらを参照。
【FR会議9】ドナーピラミッドを作る - NGOミャンマー駐在員のハリキリノート
一度団体に興味を持ってくれた方との接触を切らさず、寄付やマンスリー継続寄付につなげていくために、メルマガを送ったり、報告書を郵送したりしているわけです。その流れで、去年くらいから、寄付者だけが入れるオンラインサロンを開設する団体が増えてきました。
コミュニティー化=辞めづらい仕組み
例えば、あるアーティスト(歌手でもアイドルでもなんでもいいです)がいたとして、ファンを長くつなぎとめるにはどうしたらいいでしょうか。それは、ファンのコミュニティーを作ることです。
ファン同士のコミュニティーを作り、ファン同士に仲良くなってもらう。そうすると、アーティストには若干飽きてきたとしても「友達がいるから、あのアーティストのイベントには行きたいな」という気持ちになってきます。コミュニティー化は、ファンを辞めさせない仕組みなのです。それをオンラインでやっているのが、オンラインサロンとなります。
当然、NPOでもこのコミュニティーづくりは活用できます。支援者さん同士が交流して仲良くなる「支援者交流イベント」を開催している団体は、以前からたくさんありましたよね。去年くらいから、コロナの影響もあり、オンラインでコミュニティーを作れるオンラインサロンを始めるNPOが増えてきた印象です。
我々も流行に乗ってみた
地球市民の会も、コーヒーアンバサダーというオンラインコミュニティーを作っています。ミャンマーのコーヒー生産地を応援するために、毎月1,000円の継続寄付を集めています。継続寄付をしている方は、アンバサダー会員となり、オンラインサロンに入ることができます。Facebook上のアンバサダー会員のみが見れるページへのアクセス権がもらえ、外では見れない情報が見れたり、アンバサダー会員限定のオンラインイベントに参加できたりします。
アンバサダー会員がオンラインサロンでできること
- 会員番号入りの会員証がもらえる
- 支援者限定の産地情報が見れる
- 毎月いろいろなミャンマーコーヒーのサンプルが届く
- 月1回のzoomコーヒーミーティングで交流ができる
- まだ外に出ていない情報を早めに知ることができる
など。
政変の影響で現地と連絡が取りづらく、産地情報の発信が少なくなってしまっているのが申し訳なくはありますが、楽しくやらさせていただいています。ミャンマーコーヒーのサンプルが毎月届くのは、とっても嬉しい特典じゃないかなと思います。
オンラインサロンメンバーがクラファンに挑戦
オンラインサロンメンバーでクラファンに挑戦することになった経緯や進め方等について、書いていきたいと思います。
寄付つきコーヒーを販売したい!
ミャンマーの政変に心を痛めていた当会スタッフ。「何かやりたい!!」ということで、寄付つきミャンマーコーヒーの販売を思いつきました。せっかくなので、「オンラインサロンの皆さんも一緒にやりませんか?」と提案してみたところ、6名の有志の方が参加してくださることになりました。
地球市民の会のスタッフ5名、有志メンバー6名の、合計11名。イラストレーター、日本語教師、焙煎士、環境教育専門家、メーカー勤務など、さまざまな背景の方たちが参加してくれました。
皆さん、「何かやりたいと思っていたので、この提案はありがたかった」と言ってくださいました。
プロジェクトの進め方
4つのチームを作り、全員がそれぞれどこかのチームに所属しています。デザインチーム、文章SNSチーム、コーヒーチーム、販売戦略チームの4つです。各チームにTPAスタッフ1名と有志メンバーが1名以上入っています。各チームの人数は、2名~4名。中には2チームを掛け持ちしてくださっているメンバーもいます。
各チームがそれぞれ準備を進めています。チームメンバー同士はzoomでミーティングをしたり、メッセンジャーで連絡を取り合ったりしています。
月に2回程度、全体ミーティングをzoomで実施しています。チームの進捗状況を全体で確認したり、全体で決めたいことを話し合ったりしています。会議に出すほどでもないちょっとした報告は、全員が入っているメッセンジャーでやり取りしています。
このチーム制は、なかなかうまい方法だったなと思っています。有志メンバーは本業を持っている方々なので忙しく、大人数が集まれる日を設定するのが難しいです。チーム制にすることで、2人~4人の予定を合わせればいいのでだいぶ楽でした。
また、「あのチームはすごく頑張っていて進捗が早いから、うちのチームも頑張らなくては!」と思う効果もあったみたいです。とにかく、皆さんものすごく積極的に運営してくださっていて、とても楽しいです。
スタッフだけではできなかったこと
当会スタッフだけでもクラファンをすることはできたでしょうが、このクオリティーを出すことはできなかったと思います。ちょっと考えてみただけでも、これだけすごいことがありました。
- プロの焙煎士がいるため、本当に美味しいコーヒーを自信をもって出すことができる。
- プロのイラストレーターがいるため、サイトの雰囲気がとても素敵になった。リターンのリーフレットも素敵に!
- マーケテイングの専門家がいるため、購入後アンケートをとって改善ポイントを探ることができている。
- FB、twitter、インスタ、ブログの4つのSNSを毎日更新できている。
- スタッフだけでは思いつかなかったアイディアがたくさん出る。
- スタッフだけではアプローチできなかった層へリーチできている。
そして、なんと言っても文化祭みたいな雰囲気で、とっても楽しい!
サロンメンバーの応援も!
今回のクラファンを積極的に進めているコアメンバーだけでなく、オンラインサロンに入っている他の支援者さんたちも、たくさん応援をしてくださっています。購入するのはもちろん、SNSで宣伝してくださったり、ミャンマー関係のイベントにチラシをもって行ってくださったり。
もともとミャンマーとコーヒーが好きな方々が集まっているオンラインサロンでしたので、今回のクラファンにもとても興味を持って、積極的にかかわってくださっています。
がっつり関わりたい方はクラファンのメンバーとして、できる範囲で応援したい方は宣伝担当として参加してくださっており、それぞれに合った参加の仕方を提供できたのは良かったなと思っています。
まとめ:オンラインサロンでプロジェクトを立ち上げるべし
他団体のオンラインサロンに入っていないのでよくわかりませんが、忙しいNPO職員がオンラインサロンに時間をかけることが難しいのが現状ではないでしょうか。せっかく作ったオンラインサロンが、盛り上がらずにフェードアウトしてしまっては勿体ないです。
クラファンなど、オンラインサロンメンバーが主体となってできるイベントやプロジェクトを立ち上げると、オンラインサロン全体の活性化になってとても良いです。特にクラファンは、すごく楽しい!盛り上がり感がハンパないです。
そして・・・クラファンでコーヒーを購入してくださった方を、コーヒーアンバサダーのオンラインサロンの2期生としてお誘いしたいと思っています。リターン発送時にご案内させていただくつもりです。クラファンで購入するくらいミャンマーやコーヒーに興味がある方々なので、コーヒーアンバサダーオンラインサロンもきっと気に入ってくれるはず!そうやって、もっと良いコミュニティーに育てていけたらいいなと思っています。
コーヒーアンバサダーのオンラインサロンに入りたいという方は、とりあえずクラファン購入しておいてくださいね。
他団体はオンラインサロンをどこまで活用できているのでしょうか?興味があるので、NPOのオンラインサロンに入っているという方は、コメントで教えてください~。成功事例や、失敗事例も知りたいです。