NGOミャンマー駐在員のハリキリノート

ミャンマーのタウンジーという町で、国際協力をやっています。NGO活動、ミャンマーあれこれ、国際結婚育児ネタなど

人気があるNGOとダサいNGOの違いは何か?

ミンガラーバー。

佐賀に本部がある小さなNGOのミャンマー駐在員をやっています、鈴木亜香里です。

 

日本には、国際協力をやっているNGO団体はたくさんありますよね。中でも大手と呼ばれるNGOや、若者に多く支持されているNGOなどを見ると「イケてるなぁ」「人気があるなぁ」とうらやましくなります。

 

うちの団体もイケてる感じになりたいのですが、なんとなくダサい感じが漂う・・・なんででしょう?現場での活動は、大手や人気団体と遜色ない自信はあるのですが、広報が下手なのか、ブランドイメージがないのか、なかなか田舎臭さが抜けません。今日はその辺を研究してみたいと思います。

人気があるNGO団体のイメージ

私の独断と偏見ですが、イケてるなぁと思うNGO団体のイメージです。読んでいくと、だいたいどの団体を念頭に置いているか、わかると思います。

 

人気NGOの広報

やっぱり、良いイメージがある団体、人気がある団体は広報が上手ですね。

 

代表が若い

勢いのある団体は、代表が20代~30代くらい。顔を出して活動しているイメージがあります。

代表が学生のときなどに、何か原体験(ストリートチルドレンとか、子供兵とか、人身売買とか)を目にして、それをどうにかしたいと思って作った団体。そのときの想いを、代表が講演会やメディア、SNSなどで前面に出て語るというイメージです。

 

SNSやwebでの広報が上手

代表がtwitterなどのSNSをやっていて、けっこうな数のフォロワーがいる。webサイトも見やすくてオシャレな感じがする。活動内容がわかりやすくまとめてある。

 

人気NGOの活動内容

目的にフォーカス

代表の原体験があるため、子供兵、ストリートチルドレン、スモーキーマウンテン、人身売買、エイズなどの、特定のキーワードにフォーカスした活動をしている印象。誰もが必要だと感じるし、同情というか「なんとかしたい」という気持ちが湧くような活動を実施。

 

目的をしぼっているため、説明がしやすい。わかりやすいため、支援者が集まりやすい。

 

現地パートナー団体と実施

駐在員を派遣して、直轄でやっている団体もあるけど、現地パートナーと協力して事業を実施している団体もある。実務はほぼ現地パートナー団体が行い、資金提供のみ行っている団体もある。

 

人気NGOの支援者

他団体の詳しいことなんて知らないので、完全に想像というか妄想ですけど、こんな感じ。

 

一般寄付が多い

助成金に頼りすぎず、支援者からの一般寄付、マンスリーサポーターなどが多いイメージ。また、知名度もあるので企業からの寄付もけっこうある。

 

若者から人気

広報が上手で、SNSもうまく使うので、若者から多く支持されている。ボランティアやインターンをするのが学生のあこがれ。インターンの若者の力をうまく使ってイベントなどを企画し、さらに若い支援者を集めるのがうまい。

 

支援者はリターンを求めない

「このお金が役に立つならそれでいい」「支援者への報告にお金や労力をかけるより、現地に多く使ってほしい」という支援者が多いイメージ。都会の支援者や若者の支援者が多いためか、こういう意識の支援者が多い。

 

人気団体のイメージは「スタバ」

人気団体は、私から見たら「スタバ」です。スタバに行って、写真を撮ってインスタあげるのがオシャレ、みたいな。若者がたくさん来てて、関わるだけでテンション上がっちゃうみたいな。 人気NGO団体でインターンやボランティアしたり、寄付したりするとかっこいい!憧れ!!もちろん、出しているコーヒーやフードも美味しいし、居心地がよくて何度も行きたくなる。

 

地球市民の会(TPA)はどうか

さて、スタバの対極に位置する我が地球市民の会。何に例えたらいいでしょうかね。TPAについて見ていきましょう。

 

TPAの広報

創設者がもういない

人気NGOでは若い代表=創設者がいるんですが、TPAの場合は・・・もう創設者はいないのです。私がTPAに入る前に亡くなられています。創設37年目の団体ですからね。

 

創設者の古賀先生は、すごいカリスマだったそうです。もしかしたら、TPAはカリスマ代表がひっぱる人気団体の30年後の姿なのかもしれません。ちなみに、古賀先生の本が出てますので、もしよかったら読んでみてください。

地球を翔た異風者: 古賀武夫伝

地球を翔た異風者: 古賀武夫伝

  • 作者:橋本和喜
  • 発売日: 2018/06/04
  • メディア: 単行本
 

 

今ももちろん理事長や事務局長という立場の人はいますが、理事長は専業ではありませんし、事務局長も人前でどんどん話すというキャラではないです。団体のことを、前面に立って語る人が不在の状態です。

 

SNSやwebでの広報がへたくそ

「もっと頑張れ」と言われたら、その通りなのですが、TPAは広報がへたくそです。このwebサイトもわかりづらい。下記にも書きますが、活動内容が多岐にわたるせいもあって、なかなかシンプルなつくりにできないんです。

www.terrapeople.or.jp

 

私が入ったばかりのときは、今よりもっとダサダサでした。もう破滅的なダサさ!webリニューアルの話が出たとき、支援者さんたちから「あまりオシャレすぎるホームページにしたら、地球市民の会らしさがなくなる」「このダサさが地球市民の会だ」とか言われてたくらいです。ダサいことを支援者さんから肯定されるくらい、突き抜けたダサさでした。


Facebookは、かなり詳しいことを発信していて面白いと思ってます。twitterやインスタは、今はまだあまり力を入れられていないです。twitterやインスタは若い人に人気で、Facebookは30代後半以上がよく使うと言われています。こういう運用していたら、そりゃ若者には知られませんよね。

Facebook: https://www.facebook.com/chikyushiminnokai/

Twitter: https://twitter.com/tpasaga

Instagram: https://www.instagram.com/terrapeopleassociation/

 

TPAの活動内容

地域密着型

TPAは、ミャンマー、タイ、スリランカと佐賀で活動をしています。

 

ミャンマーの場合は駐在員を置いて、「総合農村開発」を行っています。

  • 循環型農業の普及
  • 地域インフラ整備
  • 教育支援
  • 環境保全活動
  • 文化交流

という5種類の事業を行っています。

 

・・・って、いろいろすぎてわかりづらい!!「子供兵」「エイズ」「人身売買」などと比べて多岐にわたっています。

 

なんでこんなにいろいろやるのかというと、「地域密着型」なのです。ミャンマーではシャン州とチン州、あと佐賀。これらの地域に根付き、地域の人たちが求めていることで、自分たちができることならなんでもする、というスタンスでやっているからです。問題にフォーカスするのではなく、地域の人の生活にフォーカスした活動を行っています。

 

これはとても良いこと、誇れることだと思っています。ただ、わかりづらい。シンプルに説明しづらい・・・それが悩みです。

 

直轄で事業を実施

地域密着で活動をしているため、直轄です。パートナー団体はいるにはいて、協力もしてもらっているけど、あくまで事業を回す主体はTPAです。日本人の駐在員も村に行って活動をしているので、パートナー団体に任せてたまに見に行くだけではわからない部分も見えているだろうと思います。駐在員は全員ミャンマー語がわかるので、情報をとれる量や濃さもすごいと思うんだけどな。

www.ngomyanmar.com

 

TPAの支援者

助成金依存度が高い

これはうちの弱点。今後改善していきたいと思っていますが、どうしても広報が下手なせいで、助成金に頼りがちになってしまいます。助成金の申請書は、現地にいて現地の様子を知り尽くしている駐在員が書くので、受かりやすい。ある程度の実績もあるので、ありがたいことに採択をたくさんいただいています。

 

でも、広報が下手なので一般寄付がなかなか集まりづらい。これをどうにかしたいと思って、こういうブログをやったり、いろいろ企画を立てて頑張ったりもしています。広報専属スタッフも置けない小さな団体なので、各担当が協力しながらやっています。

 

地元のシニアから人気

若者人気は薄いのですが、地元のシニア層からの人気はかなり高いです。創設者の古賀先生の時代から支援をずーっと続けてくれている方もいらっしゃいます。佐賀新聞に取材してもらって、それを読んだ方が支援をしてくださるなどしています。

 

「自分も若いときに奨学金をもらって学校を出たから、今はミャンマーの子が学校に通えるように支援したい」という方や、「孫に小遣いをあげるより、ミャンマーの子供にあげたほうが大事に使ってもらえる」みたいな理由で支援してくださる方もいます。

 

シニア層の方が居心地よく感じてくださって、支援を続けてくださっているのは本当にありがたいことです!でも、若者のパワーも欲しいの・・・。

 

支援者へのリターンが重要、むしろメイン

都会のイマドキNGOでは「報告よりも現地にお金を使って」という支援者さんがけっこう多いと上記に書きました。これは私の想像だけでなくて、ファンドレイジングの本か何かにも書いてありました。

が、TPAの場合は、報告にかなり力を入れるようにしています。(報告パンフをきれいな紙でやる、みたいなお金をかける方向には全く使いません!)。

 

例えば奨学金事業だったら、年に2回手紙のやりとりができるようにしています。現地からの手紙はミャンマー語で書かれるのですが、すべて日本語に翻訳してお届けするようにしています。

効率を重視する支援者さんだと「その時間を現地のために使って」と言ってくださる方もいるでしょう。でも、TPAは、これが大事だと考えています。

 

というのも、TPAはもともと、佐賀の人たちの目を世界に向けるために始まった団体だからです。佐賀の人たち(日本の人たち)が、世界とのつながりを感じて、地球市民の一員になってもらうことを目的としています。

 

地球市民とは、他人の幸せを自分の幸せと思える人のことです。利他の心を持つ人と言ってもいいでしょう。

 

TPAの目的は、地球市民を増やすこと

ミャンマーの農村の発展が最終ゴールではなく、世界中の人が地球市民になることが最終ゴールです。

利他の心をはぐくんでいただくツールとして、ミャンマーでの活動や現地からの手紙があるのです。

 

TPAのイメージは「地元の庶民的な居酒屋」

TPAを例えると、地元にある小さくて庶民的な居酒屋みたいな感じでしょうか?

若者はあまり来ないけど、大人はたくさん来ていて、楽しくワイワイ呑んでいる。

全国的に有名ではないけど、うまい料理を出し、店に来た人はいつの間にか知らない人同士も話しだす。

店は古くてちょっと小汚いんだけど、都会のオシャレなお店ではなかなか得られない濃厚な体験ができる場所・・・。

 

そんな場所になれていたらいいなと思います。でも、もうちょっと全国に広げていきたいなぁ・・・。地球市民を増やすためには、佐賀でとどまっていてはダメで、全国的に知名度を上げていきたいんですが・・・。

 

まだ答えは見えません。地球市民の会の良さを消さずに、人気団体の良いところは取り入れていく方法を、探り続けたいと思います。