NGOミャンマー駐在員のハリキリノート

ミャンマーのタウンジーという町で、国際協力をやっています。NGO活動、ミャンマーあれこれ、国際結婚育児ネタなど

国際協力に英語力は不要と言い切る3つの理由

ミンガラーバー(ミャンマー語でこんにちは)

鈴木亜香里です。

 

国際協力の現場を目指している人、NGOで働きたいと思っている人にとって、「英語」は重要な関心事項でしょう。

 

ネットでちょっと見てみると、「英語は絶対必要!」という意見が多いようですが、本当にそうでしょうか?

 

そりゃあ、英語ができないよりも、できたほうが良いんじゃないの・・・と思うかもしれませんが、「英語ができるからこそのマイナス点」もあると、私自身は感じています。

 

NGOミャンマー駐在歴8年で、英語がほとんどできない私が、「国際協力に英語力は不要と言い切る3つの理由」を書きます。

 

 

 

英語なしで働くNGO駐在員

 

私の英語力

 

私は、英語はほとんど話せません・・・。

TOEICは730点ですが、会話となると全くダメ。

脳みその中に、日本語の領域と外国語の領域(ミャンマー語と英語が占める)があるようで、英語を話そうとしてもミャンマー語ばかり出てきます。

 

そのかわり、ミャンマー語はかなりできます。

東京外国語大学で4年間勉強しましたし、1年は休学してヤンゴンに留学しました。

そして、今はミャンマー駐在9年目。

10年以上ミャンマー語とかかわっているので、ある程度のレベルで、読み書き・会話・タイピング等できます。

 

 

仕事で使う言語

 

仕事では、英語は全く使いません。

ミャンマー語と日本語ばっかり使っています。

 

TPAのスタッフは、英語が苦手。

ミャンマー語と、それぞれの民族の言葉を話します。

私との意思疎通はミャンマー語でします。

 

村によってはミャンマー語を話せず、民族の言語しか話せない人もいます。

そういう場合は、スタッフが民族語からミャンマー語に通訳してくれます。

 

TPAには駐在員が3名いますが、全員がミャンマー語を流暢に操れます(そして英語はヘタクソ・・・)

なので、今、英語ペラペラの日本人スタッフが来たとしたら、非常に困ります(笑)。

 

 

国際協力に英語は不要と言い切る3つの理由

 

理由1:英語ができないスタッフを雇用できる

 

NGOで働くというと、日本では「ボランティア(=無給)」とか、給料がとても安いというイメージがありますよね。(本当に給料は安いので、もっと上げていきたいのですが・・・)

 

しかし、途上国では、NGO職員というのは憧れの仕事です。

給料が高い!外国人と一緒に働ける!などなど。

日本人が外資系企業に憧れるようなイメージだと思います。

 

途上国の首都には、日本のNGO、欧米のNGO、国連機関などなど、さまざまなバックグラウンドを持った団体があります。

国連や欧米系NGOなど、資金力が豊富なところは、優秀なスタッフを確保しようと給料水準を高く設定します。

 

そうすると、より給料が高いところ、より待遇が良いところに転職したくなるのは当然ですよね。

英語が上手で、高学歴な、いわゆるデキるタイプの人は、転職が非常に多い印象です。

 

幸いTPAは、首都ではなく田舎に事務所を置いていますので、転職しようと思っても他団体が限られています。

そのため、スタッフの離職率が低く、長く続けてくれているベテランスタッフがたくさんいます。

 

 

また、国際協力の分野にもよると思いますが、TPAのように農村開発をやっている場合、あまりにデキるスタッフだとうまく行きません。

 

のどかな農村に、町から早口で話すインテリ風の人がやってくる。

農業のことは知っているようだけど、実践はしていない。

時々英語の単語を交えて話してくる。

 

こういう人が来たら、村の人はちょっと委縮してしまいますよね(まあ、極端な例ですが)。

 

TPAのローカルスタッフは、自分も農業をやっています。

最初に、クワで豆ができた手の平を見せて、村の人から身近に感じてもらえるようにしています。

 

 農村開発の仕事は、現地の人が主役です。

ローカルスタッフや、村の人たちが頑張って、日本側は支えることが仕事です。

なので、ローカルスタッフも町の人ではなく、地元の人たちを雇うことにこだわっています。

 

そういうローカルスタッフと仕事をするには、英語よりも、現地の言葉です。

ローカルスタッフが仕事をどんどん進めてくれるようになると、日本人の仕事は、日本語とミャンマー語の翻訳が中心となります。

ドナーと現地をつなぐ役割ですね。

 

 

理由2:情報が入ってくる量が段違い

現地語を話せると、入ってくる情報が100倍くらい増えます。

村に行って、村の人との世間話でわかってくることも多いです。

 

英語を話せるスタッフに通訳をしてもらうと言っても、限界があります。

やはり、ダイレクトに現地語を理解できるのは強い。

 

英語メインで、現地語が片言の駐在員は、一体どうやって仕事しているのか、マジ謎です(笑)。

それほど、私の中でビルマ語の会話から得る情報が重要ということです。

 

 

 

理由3:現地の人からの信頼度が段違い

現地語を話せると、単純に村の人たちが喜んでくれます。

民族衣装などを着ようものなら、もう嬉しそうにツーショット写真を要求されます(笑)

 

現地語を話すことで、この地域にコミットしていることをわかりやすく表すことができます。

 

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パオ族の民族衣装


 

英語ができると、現地語が習得しづらくなる

以上、3つの理由でした。

英語よりも、現地語ができたほうが圧倒的に良いということですね。

 

英語もできて、現地語もできるのが一番良いのはもちろんです。

が、英語である程度仕事ができるようなっちゃうと、どうしても英語優先になり、現地語の習得がおろそかになります。

 

また、目指している活動形態にもよるかなと思います。

大きな団体に所属して、いろんな国に駐在したいと思っている人には英語は必要でしょうが、「この国で仕事をしていきたい」という方には英語は不要です。

 

世の中には、地域に根付き、その地域のプロとして活動をしている人もいるよー。

そういうことも知ってもらいたくて、あえての「英語不要論」でした。

 

 

言語を習得して選択肢を広げよう

上述のように、活動形態によっては、私のように英語なしでも国際協力は可能です。

でも、英語ができないことによって、選択肢が限られてしまうのは確か。

(今の私が、国連職員になったり、日本とミャンマー以外のNGOで働くのは厳しいです)

 

国際協力業界のトップブロガーである原さんは、「英語が必要!」と、私と正反対のことを言っています。英語が上達する方法も書いてあるのでぜひ読んでみてください。

国際協力師になるには英語が必要である3つの理由【英語力の伸ばし方を解説】 - 原貫太のブログ

 

検索でこの記事にたどり着いた方は、「将来、国際協力業界で働きたい」と思っている若い方たちがほとんどかと思います。

 

語学は、本気でやれば1年で日常生活レベル、2年で仕事ができるレベルになれます。

(私は、東京外国語大学のビルマ語専攻でしたが、週6コマの授業と予習復習を普通にするだけで、1年生が終わるころにはネイティブの先生と会話できるようになりました)

 

人生100年時代。

まだまだ時間がたくさんある若い方には、ぜひ現地語、英語、国連公用語の習得を目指して頑張ってもらいたいです!