ミンガラーバー(ミャンマー語でこんにちは)
国際協力の仕事をしていると、「やりがいは何ですか?」と聞かれることがたまにあります。(給料安い仕事なので、やりがいがいっぱいないと続けられないです)
以前は、「支援した村の人から、ありがとうと言われたとき」などと答えていました。よくある模範回答みたいです(笑)
もうちょっと具体的なエピソードを話したほうがイメージしやすいかなと思いますので、一番最近「やりがい」を感じた話を書きたいと思います。
前提として事業の話をするので、ちょっと長くなりますけど、読んでいただけると嬉しいです。
タンボジセンターについて
私の所属する地球市民の会は「タンボジ青少年育成センター」というセンターを運営しています。
タンボジセンターでは、「将来の農村リーダー育成」を目的とし、貧困のため進学を断念しなければならない優秀な高校生を、毎年8名ずつ選抜します。
選ばれた高校生は2年間寮に住み、高校に通いながら農業を実践します。
彼らは将来の農村リーダーを期待されているので、農業技術だけでなく各種セミナー(環境教育、農村開発手法、リーダーシップ)も受け、リーダーとしての全人的な成長を目指して日々学んでいます。
朝は早く起きて、家畜の世話や畑仕事。
その後は学校に通って一生懸命勉強し、放課後はセンターで畑仕事をします。
夜も遅くまで宿題や自習を頑張っています。
タンボジ寮に入る費用は無料です。
生徒が生活するために必要な学費や食費は、日本のさとおやさんからご支援をいただいています。
入寮式にて
先日、そのタンボジセンターの入寮式がありました。
新しく入寮する8名と保護者に対してタンボジセンターの説明をし、入寮書類にサインをしてもらいます。
私からは毎年、このセンターの目的や規則、学べること、日本のさとおやさんのことなどを話します。
日本の団体が運営しているセンターだからといって、潤沢な資金があるわけではないことも、保護者にしっかり理解してもらうようにしています。
いつもは私とスタッフだけが入寮式に出席するのですが、今年はタンボジセンターのOBたちが7名駆けつけてくれました。
そして、新しく入ってきた後輩のためにプレゼントをくれたり、自分がセンターにいたころの経験を語ってくれました。
カムチューの話
7人のOBは、今は社会人。
学校の先生になったり、成功した農家になっていたり、公務員になっていたり。
後輩たちから見ると憧れの仕事についています。
OBたちは、それぞれたくさん話をしてくれました。
・慣れるまではキツイかもしれないが、そのうち楽しくなってくるよ。
・そのときはよくわからなかったけど、ここで教えてもらったことが社会に出てからとても役立っている。
・勉強以外にも学ぶことがたくさんあって、受験勉強の時間が足りないと思うことがあるかもしれないけど、頑張れば大学にも行けるよ。
などと、後輩を励ましてくれます。
中でも、カムチューの話が印象的でした。
カムチューは、大学を卒業して、去年から高校の先生として働き始めています。
入寮試験はとても緊張した。鈴木先生から、普段家で何をしているか聞かれたので「ろうそくの火で勉強している」と答えた。勉強が好きだから、いつも本を読んでいたから。面接では受かると思っていなかったけど、なぜか合格して、タンボジセンターに来られることになった。母親に最初は反対されたけど、父親は「村にずっといても向上することがないから」と言って賛成してくれた。
最初は家が恋しくて、ぜんぜん楽しくなかった。だから、誰とも一言も話さなかった。でも、だんだん楽しくなってきて、友達とも仲良くなり、卒業するころには一番おしゃべりな生徒になった。
センターに来て良かったのは、勉強に集中できたこと。家にいても高校が近くにあったから通えただろうけど、親に経済的な負担をかけることが申し訳なくて、心配になって、勉強に集中できなかったと思う。
ここに来て、好きな勉強を思いっきりできて楽しかった。そのうち学校の先生から「頑張れば大学に行ける」と言われるようになり、先生の期待を裏切るのは申し訳ないと思って勉強を頑張った。暇さえあれば教科書を開いたし、朝は4時ごろから起きて勉強した。
学校の勉強だけでなく、週1回のセミナーも良かった。以前は人前で話すことが全くできなかったが、鈴木先生がプレゼンテーションの方法を教えてくれ、毎週前で発表させられるうちに、人前で話すのが平気になった。
彼女の話を聞いて、入寮試験の面接を思い出しました。
彼女の村は電気があるはずなのに、ろうそくで勉強していると聞いて驚いたんです。
電化している村なのに電気を使えていないということは、村の中でもかなり貧しい家庭なのだと想像がつきました。
なので、彼女を選んだんです。
プレゼンテーションの練習を皆でしていたときのことも思い出して、懐かしい気持ちでいっぱいに。
ミャンマーの学校では、前で発表するという機会がほとんどないのですが、私は「全員前で発表するまで終わらない」とか言って、全員発表させてました(笑)
彼女の「勉強したい」という気持ちを面接で理解し、選んであげられて本当に良かった!
彼女の人生に、よい影響を与えることができた。
自分たちがやってきたことは、間違いではなかった!
と感じることができ、彼女の話を聞きながら胸がいっぱいに。(ちょっと泣いた)
「やりがい」を感じた瞬間でした。
タンボジセンターのさとおやさん
こういう感動を味わえるのが、この仕事の醍醐味だと思っています。
NGOの駐在員は、最前線で感動を味わえるので、本当にお得なお仕事です☆
ただ、NGOの駐在員でなくても、感動を味わう方法はあります。
それは、支援者になること!
タンボジセンターでいったら、「さとおやさん」として子供たちの生活を支えることです。
さとおやさんになると、子供たちからお手紙が届きます。
(子どもたちはビルマ語で手紙を書きますが、私が翻訳しますのでご心配なく!)
このお手紙が嬉しいという声をたくさんいただきます。
また、このブログや地球市民の会のFBで子どもの様子をお伝えするので、それを見るのも楽しみになるはず。
月1,000円×24か月(2年間)のご支援です。
興味のある方は、このページの「タンボジ奨学金」というところをご覧ください。
なんだか、いつも最後は宣伝せずにはいられない私です・・・(笑)
こちらの記事では、ミャンマーの教育事情を書いています。
今日の記事を読むうえで参考になると思うので、読んでみてください。