NGOミャンマー駐在員のハリキリノート

ミャンマーのタウンジーという町で、国際協力をやっています。NGO活動、ミャンマーあれこれ、国際結婚育児ネタなど

三人目出産記(VBACで肉まんの恨みを晴らす)

ミンガラーバー。

ミャンマー在住10周年、鈴木亜香里です。

 

10月に第三子をミャンマーで出産しました。せっかくですので、出産の記録をブログに残したいと思います。

 

VBAC(帝王切開後の普通分娩)に挑戦

陣痛間隔ゼロ!?の一人目

私は、一人目は普通分娩で、二人目は帝王切開で産んでいます。二人ともタウンジーの同じ病院で出産しました。

 

一人目出産のときに、とても腑に落ちないことがあって・・・。陣痛がどう考えてもおかしかったんです。

 

たまごクラブなどの情報では、「陣痛間隔が10分になったら病院に行け」「陣痛の合間に仮眠をとったり、水を飲んだりする」「1分間隔になったらもうすぐ」などと書いてありますよね。

 

でも、第一子のときは、2時間間隔からいっきに3分間隔になりました。そして、我慢できないくらい痛くなってから30分くらい、常に痛くて痛くて、1秒も休めませんでした。水を飲みたくても、「水を飲みたい」と言うことすらできない!陣痛の間に仮眠するってなんやねん状態です。

 

そんなめちゃくちゃ痛い最中に、医者に「あと5時間かかる」などと言われ、義母が私の口に肉まんを押し込んできたり・・・(実際は5時間なんてかからず、30分程度でした)。

 

長男の出産記はこちら(旧ブログに飛びます。殿堂入りのオモシロ記事です)

NGOミャンマー駐在員の夢実現日記 チッチ出産のときのこと

 

あの陣痛は一体何だったのか?普通とは違ったのか?陣痛間隔がゼロというのはありうるのか??いくらググっても、陣痛間隔ゼロなんて例は出てきません。

 

モヤモヤした気持ちがずっとあり、「よし、次の出産では見極めるぞ!」と思っていたのでした。

 

帝王切開の二人目

ところが、第二子は逆子だったために、帝王切開することになってしまいました。

NGOミャンマー駐在員の夢実現日記 ディディー出産記1「帝王切開編」

 

帝王切開は、産むときは麻酔が気持ち悪いだけで痛みはありませんが、その後の傷がとても痛かったです。

 

普通分娩も帝王切開も、両方経験できてよかったなぁと思う反面、一人目のときの陣痛の謎は解けぬまま・・・。

 

もし三人目を生むことになっても、帝王切開のあとの出産は帝王切開が一般的なため、もう普通分娩をすることはありえないと思っていました。

 

VBACに挑戦の三人目

ところが、三人目は普通分娩に挑戦できることになりました。帝王切開後の普通分娩はVBACと呼ばれます。まれに、出産時に子宮が破裂することがあるので、日本ではVBACをしない病院も多いようです。

 

私の場合は、2人目から4年間隔が開いていたこと、逆子が原因の帝王切開だったことなどの理由でVBACで産めることになりました。主治医は「普通に生みたいなら普通でいいよ」と軽く言ってました。(そんな軽くでいいのか?私が帝王切開したこと把握してるか?と思って、3回くらい確認してしまいました)

 

子宮破裂して母体が死ぬ確率が1%だったら怖くてできなかったと思います。が、死ぬ確率が0.01%だったので、「まあ大丈夫だろう」と挑戦してみることにしました。(ミャンマーでの死亡率は知らんけどね!)

 

私の出産記録

ここからは時系列で振り返りたいと思います。

 

10月9日(土)

出産予定日。経産婦は出産予定日より早く産まれがちだと言うし、一人目が予定日より10日くらい早く産まれたので、今回も早いだろうと思っていたんだけど・・・まだ産まれない。おしるしが少し出始めた。

 

10月12日(月)

おしるしはまだ少しずつ続いている。前駆陣痛が出てきたので、病院に行こうかなと思ったけど、まだまだな気がして病院には行かずに家でゆっくりと過ごす。

 

10月13日(火)

12:00 病院へ

前駆陣痛が多くなってきたので、そろそろかなと思って昼の12時に病院へ。子宮口が2センチ開いていると言われる。経産婦なため、早めに入院しておいたほうが良いと言われる。

 

スーパーマーケットで買い物をし、病院に荷物を運びこむ。血液検査を受けたあとは一度家に帰り、風呂に入って夕食。17時ごろに病院に戻る。

 

お手伝いさんは帰宅。夫と子供たちは家で過ごす。私は病室で一人。特にやることもなく暇だったので、本を読んだりtwitterしたりして過ごす。

 

19:45

回診で子宮口が3センチ開いていると言われる。陣痛の間隔は30分くらい。

 

陣痛がなかなか来ないなぁ・・・と思っていろいろとググる。陣痛促進剤で子宮が破裂して死んだ人の記事を読んで「こわっ!」などと思う。

 

22:00

陣痛間隔20分くらい。「明日になるかも」などと思いつつ就寝。ウトウトと眠るが、陣痛が来るたびに目が覚める。まだそこまで痛くはないけど、地味に体力が消耗する。

 

10月14日

00:30

陣痛間隔10分強くらい。眠い。ウトウトと痛いを繰り返す。

 

2:30 分娩室に移動

陣痛間隔が急に5分くらいになったので、夫に電話をして来てもらうことに。子供たちは熟睡していたので、家に放置。

 

ちょうど回診が来て、子宮口は5センチだった。分娩室に移動。

分娩室の写真

分娩室から撮った写真。となりが赤ちゃんの処置室。このときはまだ写真を撮る余裕があった。

 

2:50 夫到着

夫が病院に到着。iPadで撮影をしてくれている。子宮口が7センチになり、医者が破水処置をとった。だいぶ痛くなってきた。

 

3:00 クライマックス

主治医が到着。分娩台に移動。だいぶ痛いが、タンカから分娩台に移るくらいの余裕はあった。

 

謎の点滴を打たれる。「これ何?」と聞くと「早く産めるようにだよ」と謎の説明がされる。「もしや陣痛促進剤か・・・?やめて!!!」と思って、「なにこれ?」と何度も聞くが、軽く流されて点滴を拒否できず。点滴が手に入ってきてヒヤーとした感覚になった直後、陣痛がめっちゃきつくなった。「こんなにすぐ効く!?やっぱり陣痛促進剤じゃん!!点滴落ちるペース早すぎないか!?」と焦る。さっきググった陣痛促進剤で死亡した人の記事を思い出して不安になる。

 

陣痛がきつく、看護師が腰をさすってくれた。第一子のときは看護師とか来てくれなくて、分娩室でもなくて病室で、夫が腰をさすってくれてたなぁ・・・と、痛い思いをしながら考える。本当は夫に近くに来てほしいが、夫は廊下で待っている。本当に痛くなってきて、大声で叫びまくる。夜中なのに。

 

廊下では主治医と助手たちがぺちゃくちゃとしゃべっていて、なかなかこちらに来てくれない。こっちはこんなに痛いのに!(あとで夫に聞いたところ、主治医はしゃべりながら手術着に着替えていたとのこと。サボっていたわけではない)

 

やっと主治医が近くに来てくれ、「そろそろイキむ?」と聞いてきた。足が分娩台に固定され、股を消毒などされる。めっちゃ痛くて叫んでしまう。看護師が「叫ばないで、その叫びの力でイキんで!うんこするときみたいにキバって!このレバーを引っ張ってうんこ!!」とアドバイスをしてくれた。最初はレバーを引っ張れずに押してしまってうまくできなかったけど、うんこをイメージしたらうまくイキめるようになった。

 

一人目のときはよくわからなかった陣痛の波も、今回はなんとなくわかったので、波が来るのにあわせてイキんだ。とにかくめちゃくちゃ痛いので早く解放されたくて、おもいっきりイキむ。

 

痛みから早く解放されたくて「会陰切ってくれ~!!」と思う。どっかのタイミングで切られたみたいだけど、よくわからなかった。

 

うんこイメージで何回かイキんだら、「頭がでた!」と言われた。「やっと痛みから解放される・・・」と思ったのに、まだまだ痛い。「一人目のときは出た瞬間に痛みがなくなったはずなのに、なぜ??」とちょっとパニックになる。「先生、まだ痛いんだけど!!」と聞くと、「まだ肩が出てない」と。次の陣痛の波に乗り、うんこイキみをして・・・無事に出た!3:26でした。

 

3:26 誕生

「でかっ!」と主治医が言う。大きな泣き声が聞こえてくる。おなかの痛みも急になくなり、ほっ・・・。胎盤がにゅるっと出てくる。

 

本当はカンガルーケアをしてもらいたかったけど、赤ちゃんはすぐに別室に連れていかれた。私は会陰を縫ってもらっていたが、主治医が助手に教えながらやるので地味に痛い。

 

赤ちゃんは布でくるくる巻き。抱っこしたいけど、まだ一瞬見せてもらえただけ。私が赤ちゃんを見たあと、廊下で待つ夫のところに赤ちゃんは連れていかれて、夫が先に抱っこした。

 

4:00

タンカで運ばれて病室に戻る。早く赤ちゃんを抱っこしたいんだけど、赤ちゃんは「寒いから」と言って、温め箱の中に入れられてしまう。

箱に入っている新生児

温め箱

 

ところで、私の腕にはまだ「陣痛促進剤」の点滴がついたままだった。点滴の袋の表示を確認すると・・・「0.9%食塩水」でした。塩水!!促進剤じゃなくて良かった(笑)

生理食塩水の点滴の画像

ただの生理食塩水でした!

5:00

夫帰る。子供たちは熟睡していて、夫がいなかったことに気づかなかったそう。事前に「起きたら大人がいないかもしれない」と伝えておいてはいたものの、泣いてたら可哀そうだと思っていたので、ほっ・・・。

生まれたての赤ちゃんの写真

誕生後のツーショットを撮る余裕もなし。これが唯一のツーショット。

 

感想 

ちょうどよいタイミングで出産

夜中、子供たちが熟睡しているタイミングだったので、夫に立ち会いしてもらうことができました。これがもし、19時とかだったらダメでした。

 

主治医が到着してから30分で出産だったので、主治医も喜んでいるだろうなぁ。事前に入院しておいたので、産気づいてから慌てて病院に駆け込む必要もなくて良かったです。

 

陣痛ゼロの謎が解けた

今回の出産は陣痛の波を感じることができました。VBACなので子宮破裂の心配がありましたが、無事に破裂しないで産めました。

 

三人目と一人目のときを比べてみると、一人目の「ずーっとめっちゃ痛い、陣痛間隔ゼロ」というのは、すでにイキんでいいくらいのクライマックスだったんだなと思います。

 

クライマックスなのに「あと5時間」と医者に言われ、義母から肉まんを口に突っこまれ、パニックになりながら病室で陣痛に耐えていた私・・・。イキみのコツもわかっていなかったので、ずーっと痛かったんだなぁと、やっと腑に落ちました。今回やっと、一人目のときのリベンジが無事に果たせた気がします。 

 

5時間と肉まんの恨みが成仏でき、すがすがしい気持ちです。