NGOミャンマー駐在員のハリキリノート

ミャンマーのタウンジーという町で、国際協力をやっています。NGO活動、ミャンマーあれこれ、国際結婚育児ネタなど

産後は大変!しんどい!産褥体験記

ミンガラーバー。

ミャンマー在住10周年、鈴木亜香里です。

 

2020年10月に第三子をミャンマーで出産しました。妊娠期間中は健康そのもので、とっても元気に活動できていましたが、産後がかなりきつかったです。三人目だったので赤ちゃんのお世話は慣れているはずなのですが、年齢のせいか、産褥期がきつくて・・・。さすがに四人目は無理!と思ってしまいました。

 

赤ちゃんが産まれるまでのことは割と情報が多い気がしています。しかし、産褥期についてはあまり知られていないように思います。出産した本人すら、「こんなにつらいとは知らなかった!」と思うくらいですから、特に男性なんかは全く知らないという人も多いのではないでしょうか。

 

ということで、今回は私の産褥期について書きたいと思います。中国系ミャンマー人の義母が口うるさく言う「産褥期にやってはいけないこと」リストについてもご紹介します。

 

産褥期とは

産後1か月くらいの期間を「産褥期(さんじょくき)」と呼びます。出産時には骨盤が大きく引き伸ばされ、会陰が裂け、大量に出血します。ホルモン分泌も妊娠モードから子育てモードへと一気に変化します。

 

大事故に遭ったくらいに身体がボロボロになっているのに、ゆっくり寝て体を休ませることもできません。赤ちゃんのお世話で、眠ることもできない日々になります。

 

産褥期は具体的にどう大変なのか、私の例をご紹介したいと思います。

 

身体的な症状

暑い

まず最初に、暑いです。めちゃくちゃ汗をかいてしまい、冬なのに半そでのTシャツ一枚で過ごす人もいるくらいです。(本当は体を冷やしてはいけないので、薄着は禁物なのですが・・・。)

 

ホルモンバランスが急激に変化するためのようです。更年期になるとホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)になる方が多いようですが、それと似たような感じではないかと思います。

 

赤ちゃんは生まれたばかりで寒いので、部屋の温度は高めにしておかなければいけません。でも、自分は暑い・・・。地味にしんどかったです。1週間くらいで暑いのは落ちつきます。

 

後陣痛

出産後に、大きくなった子宮が縮むために痛くなります。陣痛よりも痛いという人もいるようです。私の場合は、それほどの痛さではありませんでした。生理痛がちょっときついくらいの感じでした。これは出産したその日だけです。

 

悪露

産後は生理のように血がいっぱい出ます。出産当日は生理なんて比較にならないくらいのものすごい量が出ますので、「産褥パッド」というナプキンの大きい版みたいなものを使用します。最初の1週間は量が多く、その後は次第に量が減っていきます。3週間から1か月くらい続きます。帝王切開の場合でも悪露は出ます。

 

ちなみに、ミャンマーでは産褥パッドを使う代わりに、使い古したタメイン(女性用の巻きスカート)を使用します。タメインについては、こちらのブログに書いています。

NGOミャンマー駐在員の夢実現日記 ディディー出産編4「お義母さんVSアンティー、タメイン事件勃発」(グロ、長文注意)

 

ミャンマー人は、悪露を吸ったタメインを洗ってまた使うこともあるみたいですが・・・今回、私は捨てました!

 

骨盤がぐらぐらする

産後3日くらい、骨盤がぐらぐらして上手く歩けませんでした。骨盤ベルトで締め付けて安定させれば、なんとか歩けるかも・・・というレベル。背中を丸くして、よちよちと歩くのがやっとでした。

 

寝転んでいるだけでも骨盤が痛いし、屁をするだけでも痛いんです。屁が腸を通過するときの振動が骨盤に伝わって痛い・・・。「屁すら痛いってどういうこと!?」と泣きそうになりました。

 

第一子、第二子のときはそこまでグラグラを感じなかったのですが、今回はめちゃくちゃグラグラしました。一生このままだったらどうしよう・・・と思いましたが、3日くらいでマシになってきたので良かったです。

 

会陰が痛いor腹の傷が痛い

通常分娩で産んだ場合、多くは会陰が切れます。医者が縫ってくれているのですが、傷口が痛いです。座るのすらままならない!ドーナツ型のクッションを使って、傷口が当たらないようにするように言われます。

 

ミャンマーの場合、ドーナツクッションは使いません。木の椅子など硬いものに、傷口を圧迫するように座るように指導されました。痛いのですが、そのほうが早く傷がくっつくとのことです。私も、ドーナツクッションだと傷口が下に下がる感じがしたので、圧迫座りのほうが好きでした。

 

今回はそこまで痛くなかったです。第一子のときが痛くてつらかったですね。あと、排便のときに、縫ったところが裂けちゃって、ちょっと血が出ましたね。

 

帝王切開の場合は腹の傷が痛くて、最初の数日は起き上がることすらできませんでした。ミャンマー人で帝王切開した人の中には「ぜんぜん痛くなかった」という人もけっこういるのですが、私は痛かったです。

 

第二子の帝王切開後の痛みについては、旧ブログに書いています。

NGOミャンマー駐在員の夢実現日記 ディディー出産記2「産後の痛み編」

 

乳が痛い

授乳のときに乳首が切れてしまって痛いです。血が出ている傷口をチマチマと吸われることを想像してみてください。めちゃくちゃ痛いのに、赤ちゃんは何度もおっぱいを欲しがるので・・・治る暇がありません。乳首用のクリームを塗って、ラップでパックをして早く治るように頑張りましたが、完全に痛みがなくなったのは生後29日後のことでした。乳首が痛いと、おっぱいをあげるのが苦痛になってしまうのがツライです。

 

また、おっぱいの分泌量と、赤ちゃんが飲む量のバランスがとれていないと、おっぱいがパンパンに腫れてしまうこともあります。第一子のときは、乳腺炎になってつらい思いをしました。39度の高熱が出て体がツライのに、乳を搾らないといけませんでした。

NGOミャンマー駐在員の夢実現日記 母子ともに体調不良でした

 

背中が痛い

1回の授乳に20分~40分くらいかかります。その間、ずーっと同じ姿勢をとり続けることになるので、背中が痛くなってきます。こちらは、クッションを複数使用するなど工夫をすることによって改善されました。

 

頭痛

産褥期はすぐ頭痛になります。原因はいろいろあると思います。乳を吸われるので脱水症状になりやすく、頭が痛くなります。また、目も疲れやすいので、スマホを30分見続けただけで頭が割れるように痛くなることもありました。情緒不安定で泣いた後にも頭が痛くなります。寝たら回復できるのでしょうが、赤ちゃんのお世話で寝れないですからね・・・。

 

視力低下 

とにかく目が疲れやすく、目がかすみます。おそらく視力が落ちたと思います。産後1か月は本当に目が疲れて、スマホもあまり見れませんでした。スマホを見たいから見ちゃうんですけど、その後に頭痛が来ます。

 

寝ている新生児

産後、起き上がるのがつらくて斜めにしか写真を撮れなかった

 

精神的な症状

悪夢を見る

産後1週間くらいは、よく悪夢を見ました。けがをした人も悪夢を見ると言いますから、同じような感じなのかと思います。起きたときに汗をかいていて、後味の悪い感じです。

 

情緒不安定になる

ホルモンの影響なのか、とにかく涙が出やすくなります。悲しくて、つらくて涙が出ることもありますが、赤ちゃんが可愛すぎて泣いてしまうなんてこともあります。とにかく情緒が不安定になります。

 

第一子のときが一番ひどくて、おっぱいがうまく出ないと言っては泣き、義母がたくさん食事を持ってきたら「食べておっぱいを出さねば」とプレッシャーに感じて泣き、赤ちゃんが可愛すぎて泣き、体がしんどくて泣き・・・。「産後うつ」まではいきませんでしたが、自分でもわけがわからないくらいメンタルが不安定になってきついです。

 

第三子の場合は、病院から家に帰ってきた日がつらかった。久々に家に戻ったので、上の二人のテンションが上がってうるさい。こちらは体がつらくて早く寝たいのに、いったいいつになったら休めるのか・・・と絶望して泣きました。いつもなら大きな声で怒るのですが、産後で体がきつすぎて、大きな声が全く出なくて驚きました。

 

頭脳のポンコツ化

計算ができなくなったり、字をきれいに書けなくなったり、今日が何月何日かをすぐに思い出せなくなったりします。本を読んでも頭を素通りしてしまう感じです。脳みそにモヤがかかったように、うまく働かなくなりました。

 

 

と、私が体験したものだけでもこんなにありました!1か月間本当にしんどくて・・・いつ回復するのかと不安になりましたが、ちょうど1か月がたつころには少しずつ元気が出てきました。上の二人のときはここまでしんどくなかったので、年齢のせいもあるんだろうと思います。

 

産褥期にNGなこと

産褥期には体をゆっくり休めないといけません。 お母さんがやるべきは、自分の体を回復させることと、赤ちゃんの世話だけです。家事はやってはダメです。「なるべく家事はしないように」ではなく、「家事してはダメ」のレベルです。

 

でも、日本では産褥期でも家事をしている人が多いのではないでしょうか?実家を頼れないなどの仕方がない理由の方もいらっしゃるでしょうが、産褥期の大変さがあまり知られていないような気がします。

 

私の義母は中国系のミャンマー人です。中国人は健康が大好き!「産褥期に無理をすると、一生治らない産褥病になるから休め!」と何回も言ってきます。いつも義母にはイライラさせられますが、産褥期の過ごし方については本当にありがたい存在でもあります。義母から何度も言われている産褥期に気を付けるべきことについて書きます。

 

家事はNG

上述のように、家事をしてはいけません。なるべく体を休める時間を増やしてください。特にNGなのが、水を使う家事です。洗濯や食器洗いなど、冷たい水に触れることは絶対にダメです。体が冷えてしまうからです。

 

我が家では子守りのアンティーが洗濯、掃除、食器洗いなどを普段からやってくれています。アンティーが帰ったあと、夜だけ食器洗いを私がしていましたが、産褥期は夫が夜の食器洗いをしてくれました。料理も、普段は私がやりますが、産褥期はアンティーが作ってくれました。

 

重たい物を持つな

産褥期に持つ一番重たいものは赤ちゃんです。骨盤がボロボロなので持ちたくても持てません。無理をすると、年をとってから子宮が落っこちてくるそうです・・・。

 

何か重い物を持つ必要があるときは、夫に頼んで持ってもらいました。夫も義母から何度も言い聞かされているので、率先して持ってくれて助かりました。

 

体を冷やすな

とにかく体を冷やしてはいけないと言われます。常に厚着をして、靴下や帽子までかぶるように言われます。

 

冷たい水に触ると体が冷えるので、ちょっと手を洗うとか、洗顔するときもお湯を使うように言われます。上記にも書きましたが、冷たい水で食器を洗うなんてもってのほかです。

 

また、体を冷やす食べ物も避けるように言われます。ナスとか、トマトとか。大根もダメと言われました。食べ物に関しては、私はなんでも食べるようにしています。食べたらいけないリストを忠実に守ると、毎日メニューが固定になってしまって、つらくて泣いたことがあるので・・・。

 

この時期に身体を冷やすと、年をとったときにつらいそうです。寒くなってくると、体の節々が痛くなるとのこと。産褥期の1か月間我慢すれば、将来ツライ思いをする必要がなくなるとのことです。

 

目を使い過ぎるな

産後の1か月は、スマホは絶対に見るな、本も読むな、TVも読むな、と言われます。そうしないと、将来、目が悪くなって本が読めなくなるそうです。

 

第三子のときは義母の監視がなかったので、けっこうスマホでSNS見ちゃってました・・・。そしたら、30分くらい見ただけで頭痛になりました。視力もかなり落ちてしまった気がします。

 

SNSで出産報告して、おめでとうコメントに返事をして・・・とやりがちですが、注意です!

 

 

大変な産褥期には、周りの人が理解してサポートしてあげる必要があります。私はまだまだ軽いほうで、お手伝いさんや夫のサポートもありました。一人で全部やらないといけなかったり、産後うつになってしまう方などはもっと辛いはず・・・。多くの人に産褥期のことを知ってもらって、サポートできる社会になればいいなと思います。