ミンガラーバー
ミャンマー在住9年目の鈴木亜香里です。
新型コロナウィルスについての情報を、わかる限りでまとめました(3月15日)。
新型コロナについて読みたい方は、
ミャンマーは10月から2月ごろにかけて、一番観光に適したハイシーズンとなります。日本人は観光ビザなしで入国できますので、多くの観光客が訪れています。
ロヒンギャ問題があるため、「ミャンマーの治安って大丈夫なの?」と疑問に思う方もいるかと思います。比較的安全なほうだと私は思っていますが、それでも日本とは違って気を付けるべきポイントはたくさんあります。
今日は、ミャンマーの治安や、訪問時に気を付けるべきことについて解説していきます。
治安・安全面
ミャンマーは治安が良い、安全な国とよく言われています。仏教徒が多い、軍政時代は厳しく民衆が抑えられていたから、などの理由が言われています。しかし、民主化以降、治安は悪化してきている印象です。犯罪や事故に巻き込まれないように、気を引き締めましょう。
ぼったくり、スリ、泥棒
民主化前は、このような犯罪は少なかった印象ですが、最近は増えてきている印象です。外国人観光客はカモになりやすいので、十分注意しましょう。
- ヤンゴンの観光地で日本語で話しかけてくる人には対応しない(ぼったくりガイドの可能性がある)
- タクシーはgrabアプリを利用する(ぼったくり防止)
- 人混みではスリに注意。財布やスマホはポケットに入れず、ふたの閉まるカバンに入れる。
- 荷物から手を離さない。
- ホテルでは貴重品の管理をしっかりする。
- 特に女性は、夜に一人で行動しない。
- 危険だから行くなと言われている場所に、むやみに行かない。
- 女性は、露出が激しい恰好をしたり、思わせぶりなそぶりをとらない。
これらの基本的な対策をしっかりと心掛けましょう。
交通事故
ミャンマー人の運転は荒いです。歩行者優先ではなく、車優先社会なので、日本のように「止まってもらえる」という感覚では非常に危ないです。車のハンドルを握ると、自分が強くなったような気がして「オラオラッ!!」と運転してしまう人が多いようです。道路を渡るときは十分注意して、ローカルの人にくっついて渡るようにしましょう。
交通事故に遭うと、政府の病院に連れて行かれます。外国人むけの私立で設備の良い病院で治療を受けたいところですが、交通事故の場合は政府のローカル病院じゃないとダメというルールがあります。ローカル病院は設備も悪く、衛生状況も心配になるし、患者一人あたりのスペースが野戦病院並みに狭いです。心身ともにズタボロになります・・・。
死の高速道路
交通事故と関連して、できれば高速バスの移動は避けましょう。特に、ヤンゴンー ネピドーを結ぶ高速道路は「死の高速道路」と呼ばれることがあるくらいに事故が多いです。高速バスの事故がよく報道されています。
ヤンゴンーバガン、ヤンゴンーマンダレーなどは、飛行機で移動するよりバス移動のほうが安いので、学生さんやバックパッカーはよく利用しています。しかし、外務省やJICAなどでは、個人旅行であっても高速バスの利用は禁止しているそうです。(NGOスタッフが使う分には、何も言われませんけどね・・・)
テロ・爆弾事件等
ショッピングセンター等の人が多く集まる場所で、爆弾事件が起こることがあります。ヤンゴンやマンダレーなどの都会のショッピングセンターが狙われやすいです。対策としては、外務省のたびレジに登録しておき、注意のメールが来たときには人混みを避けることです。イスラム教のお祭りがある時期はモスクに近づかないようにするなど、外務省から注意すべき情報が入ってきますので、それに従うようにしましょう。
行ったらダメな地域
ミャンマーには、観光客が気軽に旅行に行ける地域と、外国人の立ち入りを禁止している地域があります。有名な観光地では紛争などはありませんが、少数民族地域ではまだ紛争が続いているところもあります。
ヤンゴン市・ダラ地区
ヤンゴンから近く、村の様子を見れるということで、長期滞在者が気軽に行くところです。たしかに、普段ヤンゴンの都会に住んでいては目にすることができない村の様子を見れて、よい経験になるとは思うのですが・・・あまりにボッタクリやサギが多い。とられる金額もン万円単位で、「どうやったらこんな金額とられるの??」と不思議に思うくらい。あまりに被害者が多いため、外務省も困っているみたいです。
外務省 海外安全ホームページ|現地大使館・総領事館からの安全情報 詳細
ミャンマー在住者トップブロガーのローカル男さんも、注意喚起の記事を書いています。
旅行制限区域
ミャンマーの観光省のHPです。「Places in myanmar that reqire Prior Permisson」という部分を参考にしてください。ここに書かれている地域(旅行制限区域)に行くには、事前に政府の許可をとる必要があるということです。
Traveller Tips - Ministry of Hotels & Tourism Myanmar
たとえば、ロヒンギャ問題のあるヤカイン州は州都シットゥエの町中以外はダメみたいです。ヤカイン州の遺跡「ミャッウー」は、この表では旅行制限区域に入っていますが、外務省のwebでは「ミャッウー」は「旅行制限区域」の指定地域外と書いてあります。どちらなのか・・・。どちらにせよ、シットゥエやミャッウーは、外務省からレベル2(不要不急の渡航は止めてください)に指定されていますので、気軽な観光で行くべきところではありません。ミャッウーは素晴らしい遺跡があるので、本当にもったいないです。早く落ち着いてほしいです。
また、2019年8月には、北シャンの「ティーボー」付近で紛争が勃発しました。ゴッティ橋という有名な鉄橋の近くで、外国人にも人気の観光地だったのですが・・・。それに伴い、人気観光地であるピンウールィンへの旅行も差し控えるように、外務省からコメントが出ています。北シャンも不安定な状況が長く続いているため、町中以外はレベル2です。
少数民族の中には、政府と和平を結んでいない武力勢力もあります。ミャンマー人でも普通は行かない場所で、外国人の立ち入りは禁止されています。こっそり行こうと思っても、バス等の公共交通機関ではチケットを売ってもらえません。タクシーをチャーターしても、途中で検問等があってバレます。無謀なことはやめましょう。
旅行制限区域は、ミャンマー初心者が安易に行って良い場所ではありません。外務省のwebサイトで情報収集し、たびレジに登録しておきましょう。
ガイドブックを信用しすぎない
ガイドブック『地球の歩き方 ミャンマー 2019-2020年版』に掲載されている地域の中で、ちょっと注意が必要と思われるところをピックアップするとこのへんかと思います(2019年現在)。ガイドブックに載っているから絶対安全と思うことなく、最新の情報を集めるようにしましょう。ガイドブックに載っていないところに行く場合は、さらに注意するようにしてください。
【ヤンゴンとその周辺】ヤンゴン(注:ダラ)、シットウェー、ミャウー
【マンダレーとその周辺】ピンウールィン、ティーボー、ラーショー、ミッチーナー
2019年現在、これらの場所を訪問する場合は、事前に情報をよく集めることをお勧めします。
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健康面
旅行中は体調万全で楽しみたいものです。ミャンマー滞在中、体調を崩さないように以下の点に注意しましょう。
外務省のwebサイトで、ミャンマーの医療情報についてまとめてあります。病院の連絡先リストもありますので、必要な方はどうぞ。
予防注射
短期の観光でミャンマーを訪問する場合は、特に予防注射は必要ありません。
駐在等で長期滞在する場合は、予防注射の接種をおすすめします。
- A型肝炎
- B型肝炎
- 狂犬病
- 破傷風
- 日本脳炎
この5種は受けておいたほうが良いかと思います。特に、B型肝炎と破傷風は、ローカルの人でもしっかり接種をしていますので、それほど必要ということ。日本脳炎も子どもには無料で接種されています。抗体がない方はしっかり受けておくと良いと思います。
狂犬病については、予防注射を打っておいたとしても、もし噛まれたら注射を受ける必要があります。なので、事前には打たない派の人もいるようです。どちらにせよ、犬に近寄らないことが大事です。
ちなみに、日本で受けると高い予防接種も、ミャンマーで受ければ少し安く受けられます。長期滞在の方は、ミャンマーで接種してみても良いかもしれません。ヤンゴンには、外国人向けの病院や日本人が駐在している病院がいくつかあります。
野良犬
ミャンマーには野良犬がたくさんいます。狂犬病になる可能性があるので、犬にはできるだけ近寄らないようにしましょう。特に発情しているときは気性が荒くなっているので危険です。
もし噛まれてしまったら、すぐに病院に行って注射を打ってもらってください。予防注射を接種済みでも、噛まれた場合は治療が必須です。飼い犬の場合は飼い主の連絡先をもらっておき、その犬がその後狂犬病を発症しないか、注意して見てもらうようにします。狂犬病は発症したらかなりの確実で死にます。
蚊
デング熱やマラリアなど、蚊を媒介とした病気は日本より多いです。特に、デング熱が多いようです。雨季(6月~10月)に流行します。ヤンゴンでもデング熱は多いので、虫よけスプレーや蚊取り線香、蚊帳を利用して、なるべく蚊に刺されないように注意しましょう。
マラリアは、ヤンゴンやマンダレーなどの都会では少ないですが、地方に行く場合には注意が必要です。私も一度デング熱にかかりました。軽かったから良かったですが。旧ブログに書いています。
熱中症・紫外線
ヤンゴンやマンダレー、バガンなどは暑いです。気温は日本の夏とさほど変わらない気もしますが、太陽光線の強さは日本より強烈です。ヤンゴンのダウンタウンは、地図上では近くに見えるのでついつい歩いてしまいますが、実際は1ブロックも歩くとヘトヘトになってしまいます。
水分補給は必須です。日差しを避けるために、帽子や日傘を活用しましょう。日傘は特別に用意する必要はありません。普通の雨傘をさしても大丈夫。ローカルの人たちも雨傘を普通に使っています。恥ずかしがったり、面倒がったりせずに、傘を使って身を守りましょう。
ミャンマーは紫外線も強いです。ミャンマーの失明率は世界一高いそうですが、紫外線もその一因ではないかと私はにらんでいます。ミャンマーの紫外線指数は全国的に11以上。ヤンゴンは12、タウンジーは13という数字も出ているのを見た事があります。日本の気象庁は、紫外線指数8以上で日中の外出を控え、長袖シャツや帽子の着用するように言っているそうです。12なんて高すぎる・・・。日中に出かける必要があるときは、日傘や帽子を利用し、失明対策にサングラスもかけるようにしましょう。日焼け止めも必須です。
寒さ対策
暑いから日差しと熱中症に注意しろと言いましたが、地域によっては寒くなるところもあります。人気観光地のインレー湖のあるシャン州は標高が900メートルほどあり、意外と冷え込みます。一番冷え込む12月ごろには、4℃くらいまで下がることもあります。早朝からボートに乗って観光をすると、毛布が必要なくらい寒いです。山岳地域に行くと、さらに冷え込みます。
ヤンゴンからシャン州に行くと、気温差で体調を崩してしまうことがあります。薄手の長袖を持ってくるだけでは不十分です。標高の高い地域に行く場合は、フリースやダウンなどを持ってくるのをお勧めします。
食事・水
水は絶対にボトルウォーターを利用しましょう。ローカル向けのジュース(ライムジュースなど)は、水や氷がダメな場合があるので注意です。弱い人は、生野菜を洗う水がダメで当たってしまうこともありますので、自信がない方は生野菜も避けましょう。初心者は歯磨きにもボトルウォーターを使ったほうが無難です。外国人向けのレストランでは、水や氷はボトルウォーターで作ってあることがほとんどですので、心配する必要はあまりありません。
海外旅行に慣れている人は、屋台に挑戦したくなるみたいですが、お隣のタイのような感覚で屋台に挑戦すると痛い目にあいます。ローカルでも「屋台は避ける」という人はけっこういるようです。
ミャンマー料理には油が多く使われているので、胃もたれしてしまう人も多いです。美味しいからといって食べ過ぎないで、胃薬を用意するなどしましょう。オススメはビオフェルミンです。お腹を壊す前から予防的に飲んでおくと、おなかの調子がよくなります。
新型コロナ情報
こちらの記事を参照してください。
人間関係のトラブル
現地の人との交流は、旅の醍醐味です。でも、気を付けておかないとトラブルの原因になってしまうことも・・・。
政治関係
ロヒンギャの話、軍に対する話などは避けます。特にロヒンギャ問題は、ミャンマーの人も熱くなりやすく、偏見まみれの意見を聞くことになりがち。現地の人に質問してみても、全く問題の本質が見えてきません。(悪気無くロヒンギャを差別する発言を聞いて、ミャンマー人が嫌になってしまうかも・・・)。
ロヒンギャ問題について詳しく知りたければ、日本で情報を発信されている人から学ぶほうが良いでしょう。そうでなければ、安易に話題にしないほうが無難です。ミャンマー政治の専門家、根本先生の記事などを読んで勉強すると良いと思います。
5問でわかる「ロヒンギャ問題とは何か?」スーチー氏が直面する壁(根本 敬) | 現代ビジネス | 講談社(1/5)
余談ですが、民主化の前は、「アウンサンスーチー」という名前を出したり、メールに書くのもダメでした。町中に軍政のスパイがたくさんいて、会話に聞き耳を立てているとか、メールはすべて検閲されているとか、電話も盗聴されていると言われたものです。でも、民主化された今は、スーチーさんの話をオープンにしても全く問題がなくなりました。感慨深いものがありますね。
宗教関係
熱心な仏教徒が多いので、仏教に敬意を払って行動しましょう。
- パゴダに行くときはクツや靴下を脱ぐ
- パゴダや僧院では、露出を控える(ひざ上スカートやキャミソールは禁止。男性もハーフパンツはNG)
- 僧侶に敬意を払う
- 女性は僧侶に触れてはいけない
- パゴダや仏像モチーフの扱いに注意する(仏像柄のスカートなんて履いたら逮捕されます!)
などです。仏教でも、キリスト教やイスラム教でも、宗教に対するリスペクトの気持ちを持ち、現地の人がしているようにすれば基本的に問題はありません。宗教的にこだわりがないのであれば、現地の人のように仏像やパゴダに対してお参りをすると良いと思います。外国人が見様見真似でも真剣にお参りをしていると、現地の人から喜ばれますよ。
アヤシイ投資話
観光客はあまりないでしょうが、ビジネスの視察に来た場合などでは、アヤシイ投資話に誘われることがあるかと思います。不動産とか、会社を作るとか・・・。中にはうまくいっている人もいるのでしょうが、騙されて痛い思いをしている日本人が何人もいます。相手の日本語が上手なだけで信用してしまう日本人が多い気がします。
ローカルの人でも、騙されたり、お金をとられたりすることはよくある話です。契約書なんて文化はないし、契約書があったとしても守られないことが多くあります。「これはオイシイ話だ!!」と興奮してテンションが上がってしまうかもしれませんが、そんなオイシイ話が簡単に転がり込んでくるはずがないと心得ましょう。
ミャンマー治安情報まとめ
旅行に行く前にやること
- 長期滞在の人は、予防注射を受ける。
- 海外旅行保険に加入する。
- 虫よけスプレー、胃薬、ビオフェルミン等の医薬品を準備する。
- 日傘、日焼け止め、サングラス等を準備する。
- たびレジに登録する。
- 普通の観光地以外に行く場合は、行き先の安全状況を確認する。
被害に遭ってしまった場合
- 海外旅行保険を請求できるように、事故証明や診断書、領収書等の必要書類を集める。
- 必要に応じて大使館に相談する。
- 忘れ物の場合は、出てくる可能性もある。忘れた場所に問い合わせたり、Facebookで呼びかけてみるのもあり。
- マラリア・デング熱などの熱帯の病気は、日本で治療するのは困難。ミャンマーで受診すること。
オススメ旅行情報
外務省
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ミャンマーの医療事情 | 外務省 (病院リストあり)
ミャンマーの観光省web
https://tourism.gov.mm/ja/information/permitted-area/
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