NGOミャンマー駐在員のハリキリノート

ミャンマーのタウンジーという町で、国際協力をやっています。NGO活動、ミャンマーあれこれ、国際結婚育児ネタなど

ミャンマーで子供手当て!申請手続きがめちゃくちゃ大変だった

ミンガラーバー!

NGOのミャンマー駐在員で在住10年目。鈴木亜香里です。

 

実は、私は今第三子を妊娠中です。10月に出産予定です。

 

このたび、「ミャンマーでも子供手当がはじまる!!」ということで、手当を受け取るための手続きをしてきました。けっこう大変でした。謎に高度IT化されている部分と、めちゃくちゃ手書き管理な部分が共存していて面白かったので、書きたいと思います。

 

ミャンマーで子供手当を受け取る予定がある方の参考になれば幸いです。

ミャンマー子供手当ての制度設計

情報が錯そうしまくっていて、いろんな人に聞いても正確な答えが返ってきません。保健所や地区事務所に聞いてもよくわかりません。なので、以下は私がとりあえず掴んだ情報となります。ミャンマーあるあるですね。

 

もらえる期間

産まれてから2歳まで説と、妊娠期間中から2歳まで説があります。どっちやねん!

2020年4月以降に生まれた子供が対象になる説と、いやいや、2歳以下なら2019年度に生まれても対象になる説があります。どっちやねん!

 

どちらにせよ、2020年10月出産予定の我が子は対象になります。また、外国人でも在住者であれば対象になるとのことです。所得制限なども特にないみたい。とにかく私は対象になります。やった!

 

対象地域

全国一律でスタートするわけではなく、地域ごとに少しずつ始まっているようです(これも憶測)。このたび、私の居住するシャン州南部でも始まるとのこと。日本人が多く住むヤンゴンでは、もしかしたらまだ始まっていないかもしれません。

 

こういう情報が口コミでしか回ってこないので難しいです。Facebookで見て知人が教えてくれたり、地区事務所が声をかけてきたりします。が、地区事務所はなぜ私が妊娠していることを知っているのか・・・?口コミの世界です。

 

もらえる金額

毎月15,000ks(約10ドル)をもらえます。3か月に1回、まとめて45,000ksを受け取ることになるだろうとのこと。10ドル×24か月(2年間)=240ドル!!

 

海外在住者は日本の子供手当はもらえませんからね・・・(涙)。たった10ドルですが、ミャンマー政府からもらえるのは、ありがたいことです。

 

子供手当てをもらうための手続き方法

何をするにせよ、手続きが大変なミャンマー!! 今回もかなり振り回されました。

 

私の場合は妊娠中の手続きですが、日本で生んでからミャンマーに戻る人の場合は、出生届や子供のパスポートなどで登録ができるのではないかと思います(憶測)。

 

地区事務所から呼び出される

まず、口コミが回ってきたのです。金曜日にマンションの管理人のおじさんから、「子供手当もらえるから、明日の午前中に地区事務所に行くように」と、子守のおばちゃんが言われました。

 

 

で、翌日。「土曜日だけど開いてるのかな?」と思いながら地区事務所に行くと・・・閉まってました。地区事務所の隣に屋台を構えるコンヤ屋(噛みたばこ屋)が、「昨日だよ。保健所で青い冊子をもらってこないとダメだよ」などと教えてくれました。どうしようもないので、月曜日に出直すことに。

 

 

月曜日に再度、地区事務所に行きました。すると、コンヤ屋が言う通り、保健所に行って青い冊子をもらってくるようにと言われました。「青い冊子はすぐもらえるから、今行きなよ!」という、地区の偉い人。

 

(ミャンマーうんちくですが、コンヤ屋はスパイです。やつら、ものすごい情報持ってます。実際、軍事政権の時代はコンヤ屋が情報省の末端として活躍していました。)

 

保健所に行って診断を受ける

地区事務所は近いので歩いて行けますが、保健所は少し遠いので、夫に車を出してもらって行きました。

 

 

1回目(12:30)は空振り。14:00に行った2回目も空振り。何が「すぐにもらえる!」だよ・・・。

 

 木曜日の9:30に保健所に行くと、今度は無事に診察してもらえました。なかなかもりだくさんでした。

  • 身長と体重測定
  • 母子手帳に詳細を記入
  • 血圧測定
  • 血液検査
  • 尿検査
  • 診察
  • 破傷風の予防注射
  • 虫下しとサプリをもらう

どれも面白かったです。ちなみに、診察料は無料。お金がない人はこういうところに診察を受けにくるみたいです。私はセレブなので(!?)、個人でクリニックを開いている先生のところで普段は診察を受けています。

 

身長と体重測定

ミャンマーの農家がよく使う「カッター」と呼ばれる量りで体重を量られました。「台はかり」というのかな?重りをつけて、つりあうところをさぐるやつ。いつの時代の体重計よ!?と思いながら・・・。

体重と身長は、マジックペンで腕に数字を書かれました。

 

母子手帳に詳細を記入

私や夫の名前、年齢、血液型、出産歴(普通分娩か帝王切開か、子供の年齢、生んだ病院)、学歴、宗教などなど、いろいろと聞かれました。それを、手書きで母子手帳に記載してくれます。ノートにも何やら記載していました。全くデジタル化されておらず、すべて手書きです。

 

地区事務所が言っていた「青い冊子」というのは、どうやらこの母子手帳のことだったようです。母子手帳には、記入欄もたくさんありますが、妊娠中や子育て中のアドバイスや予防注射の情報、成長曲線、避妊方法なども載っていました。情報満載!

 

保健所の人は英語とかわからないと思うので、ミャンマー語が分からない方は通訳できる人と一緒に行くのが良いかと思います。

 

血液検査

妊婦だけでなく、夫も一緒に血液検査を受けさせられました。淋病とHIVの検査です。指にプチっと針を刺して、すぐに結果が出ました。夫はイヤイヤしながらも、検査を受けました(笑)

血液検査をする看護師

血液を採取し、検査キットにつけて数分待つ。手前に母子手帳も写ってます。

 

尿検査

小さなプラスチック製のカップを渡され、「あそこのトイレに行って尿を入れてこい」とのこと。地味にトイレが遠い・・・。待っている人がたくさんいる間を抜けていかなければなりません。オシッコの入ったカップを持ちながら、よろよろと歩く私・・・途中で何滴かこぼした・・・。

 

看護師が検尿カップに何かの試験紙を浸すと、「トイレに流しに行ってゴミ箱にカップを捨てろ」とのこと。また、待っている人の間をよろよろと歩きながらトイレまで・・・。恥ずかしいんですけど・・・。導線悪すぎ。

 

破傷風の予防注射

これ、次男のときも受けました(長男のときは、医師に忘れられたのか、最後まで受けなかった)。日本では特に受けないと思いますが、ミャンマーでは妊婦は破傷風の予防注射がマストなようです。

 

普段診察してもらっている個人病院の先生は「来月にやるよ」と言っていましたが、忘れられそうな気もするので、こちらで打ちました。2日くらい地味に痛い・・・。

 

虫下しとサプリをもらう

最後に、虫下しとサプリをもらいました。虫下しは今夜寝る前に飲むように。サプリは1か月分あるから、毎朝飲むように、とのこと。

 

サプリのプラスチックケースの写真

アメリカ製のマルチビタミン。ユニセフとかWHOとか書いてある

サプリ、180粒入りと書いてあるけど、中身減らされてました。ユニセフ提供のようです。

 

来月にも診察に来いと言われましたが、子供手当の手続きのためには1回行けばOKなので、もう行かないと思う。

 

また地区事務所へ行き、スマホで登録

無事に青い冊子(母子手帳)をゲットした私は、その日の午後に地区事務所に行きました。

 

地区事務所のおばちゃんが、スマホで母子手帳を撮影し、私の情報をいろいろと入力していきます。どうやら、スマホに登録用のアプリがダウンロードされているようです。アプリに情報を入力すると、「カウンシルまで一気に情報が届く」そうです。よくわからないけど、ハイテクです。

 

おばちゃんが「外国人の名前なんてどうやって入力するのよ!パスポート番号じゃなくてIDナンバーはないの!?」などと言い出したので焦りましたが、外国人の名前で、日本のパスポート番号で、無事にアプリに登録できたようです。

 

手書きのサインもスマホ上に署名して、顔写真も撮影されました。すると、おばちゃんが「夫は?受取人は夫とか家族になるんだから、誰か家族を呼んでおいで」と言うのです。そういえば、「夫と来い」と前回言われたような・・・忘れてた!急いで夫に電話をするものの、電話を持たずに銀行かどっかに行ったみたいで連絡がつきません。

 

「それ、先に言ってよ!!一人で来たのわかってるじゃん・・・」って思います。忘れてたのは私だけどさ。全員段取り悪すぎ・・・。夫が来ないので、仕方なく翌日の午前に約束して帰りました。

 

で、翌日(金)は私が風邪をひいて具合が悪く、約束の午前中に行けませんでした。午後に行ったものの、おばちゃんはおらず。

 

結局、月曜日におばちゃんが電話して呼び出してくれ、夫の写真を撮影して登録完了となりました。この月曜日は祝日だったのに、やってくれたの謎!最初に情報を得た金曜日から、11日間経って、やっと手続きが完了しました。

 

地区事務所の入り口

地区事務所の入り口

ちなみに、お金の受け取り方法は、地区事務所でもらう、銀行振込、ウェーブマネーなどと選べるようでしたが、振込やウェーブマネーは政府が慣れてなすぎてダメそうな気がしたので、地区事務所受け取りとしました。皆、地区事務所受け取りにしているそうです。無駄なハイテクです。

 

夫の憂鬱

「ミャンマー政府からお金をもらうのは大変だ!10ドルくらい、もらう必要ないぞ」と何度も心が折れかけていた夫。「貧しい人用の政策なんだし、10ドルなんて1回お茶飲んだらなくなるだろう」と、何度も言っていました。(10ドルのお茶は高いと思うぞ!)

 

受け取りも大変そう

年金の受け取りのために、丸一日並んでいる人のニュースを送ってきては「こんな風になる」などと心配しています。「ちょっとでもタイミングを逃せば、役人に着服されるから、まだもらえると決まったわけではない」とのこと。

 

母親は赤子の世話で忙しいので、代理の家族が子供手当を受け取りに行くことになっています。夫、丸一日は並ばないだろうな。

 

ユニセフは情報をとる

夫まで血液検査をされ、「ユニセフや国連は、ただで予防注射や薬を配り、情報を取っていく」と何度も言っていました(笑)。ただ、手書きだから集計大変だろうなと思います。

 

ポリバケツに日本の国旗のシールが貼ってある

ちなみに、保健所に設置されていたコロナ対策の簡易手洗い場。ユニセフと日本のODAマーク付き!

 

なぜか医師ではなく看護師が診察

これは夫の感想ではなく、私の感想なのですが。無料で診察してくれるのは良いのですが、保健所にいた人は全員看護師でした。医師はいなかったみたい。本当だったら診察は医師がしないといけないような気もしますが、仕方ないのかなぁ。