NGOミャンマー駐在員のハリキリノート

ミャンマーのタウンジーという町で、国際協力をやっています。NGO活動、ミャンマーあれこれ、国際結婚育児ネタなど

「企業で金儲けすべきか、NPOで社会貢献すべきか」考えている人へ

ミンガラーバー(ミャンマー語でこんにちは)

国際協力NPOで働く鈴木亜香里です。

 

学生の方で「企業はお金儲けをしていて悪い、汚い。だからNPOやソーシャルビジネスをしたい」と考えている方はいませんか?実は私も学生のとき、そう考えていました。「お金儲けよりも、人のためになる仕事をしたい」と。お金儲けと人のためになることは、対立する概念だと思っていたんですね。

 

そういう考えでNPOに入ると、入った後にギャップを感じますよ。私はNPOに入る前は営利企業で働いていましたが、企業にいたときよりもNPOにいるときのほうが、圧倒的にお金のことを考えています。今日は、NPOのお金に対する考え方について、書きたいと思います。

 

学生にひかれるくらい、お金のことしか話してない!

先日、スカイプ上で地球市民の会の活動について紹介する機会がありました。1時間弱です。当会の活動を紹介したあとに、質疑応答しながら参加者と議論をしていきました。

その中に学生さんも参加されていたので、最後に感想を聞いたところ「話の9割以上がお金のことだった!」と、若干ひかれてしまいました・・・(笑)。

 

私は、前職は経営コンサルティングの会社にいました。一応上場企業でしたし、経営について考えまくっているコンサルタントが多くいる会社でした。そこと比べても、圧倒的に今のほうが、お金を稼ぐことを一生懸命考えています(企業時代は新人で、今はお局になってきているという点もあるかもしれませんが)。

 

清く正しく「お金よりも人のため!」と思っていた学生時代が嘘のようです。お金が欲しくて仕方がありません。

 

 

なぜそうなるのか?

私がこんなにお金を欲しがるのは、欲張りになったからではありません。NPOという環境がそうさせるのです。

 

1)団体の規模が小さいので、全体の状況がよくわかる

地球市民の会は、日本人スタッフは8名。ミャンマーに3人と、佐賀の本部に5人です。本当に小さい団体です。これだけ小さいと、大きな企業のように「誰かが稼いできたお金をもらう」ということができません。「自分の給料は自分で稼ぐ」「自分の担当事業を赤字にすることは、恥」という意識が醸成されていきます。

しかも、タウンジー事務所では日本人は私だけ。ミャンマー事業全体の会計も担当しているので、ミャンマー事務所を赤字にしないように、どうしたらよいかということを常に考えています。

まあ、これは企業でも当たり前と言ったら当たり前の考え方ですね。ただ、規模が小さいだけダイレクトに感じられるということです。

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ミンダ事務所の様子。日本人1名とローカル2名だけの小さな事務所です。

 

2)自分の給与がどこから来ているのか、よくわかる

企業であれば、給料がどこから来ているのか、よくわからないと思います。会社が給料を払ってくれていると思っている人も多いですよね。会社じゃなくて、お客さんが払った料金から給料は出ているので、「お客さんが給料を払ってくれている」と考えるべきでしょう。

NGO職員であれば、「給料の50%はA助成金から、30%はB助成金から、20%は団体の自己財源(その元は寄付や稼いだお金)から・・・」などと、自分の給料の出どころがダイレクトにわかります。月給を働く日数で割れば、日給もだいたいわかりますよね。「今日は日給分以上の仕事ができただろうか」といつも考えることになります。

 

駐在員をやっていると、「ミャンマーに行くので、活動を見てみたいです」という方からの依頼がよく来ます。企業の方や、一般の方、学生さん、支援者さんなどなどです。何かのついでがあれば別に見てもらって構わないのですが、その人のために一日時間をとって説明や通訳をするとなると・・・私のために給与を払ってくれているA助成金やB助成金の仕事、その他のやるべき仕事をする時間が減ってしまいます。

なので、無料でご案内はしないことにしています。半日50ドル、1日100ドル。このお金は、私の懐に入るわけではなく、地球市民の会の活動費になります。「見学に料金をとるなんて、高飛車な団体だな!」と学生のときは思ってましたが、そうしないと、ほとんどお客さん対応ばかりという事態にもなりますので、必要な措置だと今は考えています。ミャンマー人の通訳さんを雇っても、一日100ドルはかかりますからね。

この点、企業で働いていたときとは全く違います。営業に来る人に30分とか1時間とか対応してましたもんね。今なら、その1時間分の給料を、営業マンから受け取りたいくらいですよ(笑)

 

ちなみに、学生さんで「活動を見たいけど、50ドルや100ドルは高い」という方には、代替案を用意してあります。日本人スタッフの付き添いなしで、自分で勝手に農業センターを見てもらうのは無料です。また、私の勤務時間外であれば、「一緒に夕食食べながら話しましょう」的なことはやっています。学生時代にたくさんのNGO駐在員の方にお世話になったので、その恩返し的な意味も込めて、できるだけ学生さんの見学依頼には応えたいと思っています。

 

3)自由に使えるお金がもっとほしい!

お金が欲しいとさっきから書いていますが、自分の給料がいっぱいほしいというわけではないです(いや、それもあるけど)。団体の活動資金をもっと増やしたいという話ですので、そこは誤解なきようお願いします。

お金がもっとあれば、もっといろんな活動ができる!だからお金が欲しいんです。

 

何か現地で必要な活動があったら、助成金の申請書を書きます。受かればお金をいただけて、その事業ができます。それだと、助成団体ウケする事業は良いですが、助成団体ウケしない事業ができなくなってしまいます。また、申請書に書いたとおりに事業を実行しないといけないので、現場の状況に合わせてフレキシブルに対応することが難しいです。こんなとき、「自己資金ならば、もっと自由に、良い活動ができるのに」と思ってしまいます。

 

団体の自己資金と言っても、「稼いだお金」と「もらったお金」があります。稼いだお金は何に使っても文句は言われないので良いですが、もらったお金(寄付など)には、何に使ったかという説明責任が出てきます。

企業であれば、稼いだお金が中心なので、社長とか偉い人が決めれば自由にお金を使えますが、NPOには支援者に対する説明責任があります(企業にも株主がいるから、株主への説明責任はありますけどね)。

 

うちの団体は、自己資金が少なくて、圧倒的に助成金に依存しています。なので、自己資金を増やしたいんです。もっと良い活動をしていくために。

 

4)NPOがお金を稼いではいけない!?

もうこれ、いまだに言っている人がいるみたいですが「NPOがお金を稼いではいけない」という話。非営利団体という名前だから誤解が生まれているみたいですが、利益を分配したらいけないという意味あるだけで、お金儲け自体はやってもぜんぜんOKなんです。むしろ、お金儲けをしない限り、NPOは良い活動ができません。

上記でも書きましたが、助成金や寄付だけだと、本当に効果的な事業ができませんから。良い活動をしていこうと思ったら、お金が必要です。自由に、タイミングよく使えるお金が!ちょっと考えてみたら、普通に理解できる話だと思うんですけどね。

お金儲けと、人のためになる仕事は、対立する概念ではありません。人のためになる仕事をするために、お金が必要という、どっちも大事な考え方なんです。これは、企業でも同じはず。 

 

 

最近考えているお金儲けについて

ということで、自由に使えるお金を稼ぎたいと、いつも考えています。以下、最近考えていることです。

 

1)モリンガやコーヒーなどの販売事業

植林事業でモリンガの木を植林しました。モリンガはスーパーフードと言われていて、葉っぱはお茶やパウダーに、実を搾ると上質な化粧オイルになります。それを販売して、植林した村も、当会も儲かるような仕組みを作りたい。

コーヒーも焼畑の土地を良くするために植えました。交通の便が悪くて、現金収入が少ない地域なので、保存や輸送もしやすいコーヒーが良いとの判断です。村も当会も儲かりたい!この記事の一番下に書いています。

www.ngomyanmar.com

 

2)ツアー事業

スタディーツアーや、大学のツアー等を受け入れることで、ツアー受け入れ手数料を稼ぎます。また、スタツアに参加したら、絶対に団体のファンになってもらえる自信はありますので、支援者を集めるという意味でも効果的だと考えています。

www.ngomyanmar.com

 

3)翻訳・調査業務

ミャンマー語と日本語の翻訳は日常的にしており、たまに依頼があるのでやっています。農業関係には強いと思います。

NGOが活動する際は、ベースライン調査というものを行います。村の状況を把握するために、全戸インタビューを行います。また、事業終了後には評価サーベイもやりますね。大学の先生に協力していただいてベースライン調査がかなりできるようになってきたので、今後は研究者のための調査代行とか、下請けみたいなことをするのが良いかなと考えています。当会スタッフには少数民族もいますので、パオ語やシャン語での調査も可能。ヤンゴンにある調査会社にはできない、地元に根付いた調査ができるのではないかなと思います。

 

4)企業との協働

当会が活動しているシャン州は、農業が盛んな州です。そのため、日本の企業もいくつか、農業分野でシャン州に進出しています。進出を考えている際の調査や視察アテンド業務などは、ヤンゴンの会社よりちゃんとできる自信はあります。また、進出後も、農家のモニタリングをするなどは当会ができますから、駐在員なしでのミャンマー進出を実現できる可能性もあります(NPOだからって、安くするのはヤメテください)。

 

5)ファンドレイジング

こちらは自由に使えるお金というよりも、「寄付」になりますが、支援者さんをもっと増やしていきたいなと考えています。ミャンマーのことをもっと知ってもらって、自分のことを振り返ってみてもらうというのが団体のテーマですから(これについてはまた書きます)。全く関係ないお金を使って、ミャンマーだけが豊かになっていけばよいという考えではありません。日本の方たちにも、寄付や支援を通じて、いろんなことを考える機会にしてもらいたいんです。

広報や支援者さんのフォローをもっと充実させていきたいです。今までは本部頼みになっていたけど、もっと主体的にやっていく決意です。このブログも、そういう考えで始めました。ブログを頑張り始めた経緯については、国際協力系トップブロガーの原さんのブログに寄稿させてもらいましたので、そちらをご参照ください。

www.kantahara.com

 ミャンマーのように、日本でも寄付が普通のことになったら良いなと考えています。こちらの記事も良かったらご覧ください。

www.ngomyanmar.com